第15話 浮気心、再燃

 猗綺子さん?


「はい」


 浮気心が疼いてますね。


「ぎくり」


 わかってますよ。

 『骨董店アンティカーグリェ』、書きはじめちゃいましたね?


「……ご、ごめんなさい」


 公開するんですか?


「できないでしょ。まだ『風花』が完結してないし、『骨董店~』も思いつきだし」


 耐えられなくなったんですね。わかります。

 飽きたんでしょう。


「う……っ。う、うん……」


 はぁ。

 飽きっぽい猗綺子さんが、これだけ長い間、『風花』だけに携わっていられたことが奇跡だなとは思っていましたよ? でも、いくらなんでもコンテスト残り少ない時間で浮気するとは。


「自分でも呆れてます」


 また、行き詰ったんですか?


「いや。そんなことはないけど」


 じゃあ、諦めちゃったんですか?


「いやいや、そんなことはないけど!」


 間に合います?


「……頑張ります」


 ほんとに?


「正直なところ、ちょっといろいろ考えちゃってる。美弦くんの物語も書きたいと思っちゃってる」


 えっ?


「きらきらしないでね。まだ思いつきだから」


 『骨董店アンティカーグリェ』も思いつきだって言ったじゃないですかぁ。


「だって美弦くんのは絶対長編になるもん。『骨董店~』は短編にできると思ったんだもん」


 言い訳してないで、『風花』を書きなさい!


「はいっ、ごめんなさい! 申し訳ないです!」


 皆さま、申し訳もないことでございます。

 猗綺子さんをしっかり叱っておきますので、どうかお見捨てなきよう……。

 間に合うかどうかの瀬戸際が近づいてきましたが、ただいま5万文字。あと3万文字です。ぎりぎりまで諦めないつもりで進めますので、きゅんきゅんがあるかどうかは僕も自信がないのですが、応援してくださると大変にありがたいです。


 どうか、宜しくお願いいたします!

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