第7話 またやってみる? 募集。

 ねえ、猗綺子さん?

「うん?」

 進んでますか?

「ぶほっ……げほっ……ごほっ」

 やっぱり。


「やっぱりって、なんですかー」


 だって、なんか面白い小説いくつも見つけたって、きらきらしてるけど、目が半分、死んでるもん。こう、光と闇が合わさってるみたいな。


「え……えー? そう?」


 そうですよ。なんだか、行き詰ってる感じ。また、住宅地で迷ってるカーナビの「目的地周辺です」ですか?


「うん……綺音のね……無伴奏ソナタと、シャコンヌと、歌曲がね。どう書けばいいのか……迷ってて……進まない」


 止まってるの、その直前ですよね。


「そう。わかる? で立ち止まる、おばけやしきの法則ってやつ」


 胸張って言わないでください。

 このエッセイ、宣伝も兼ねてるんですよ?

 進めてくれないと、こっちも停滞するんですよ。


「わかってますぅ。ねえ、アレ、飛ばしていい?」


 それが作品にとってプラスになる効果なら、止めません。


「うっ……厳しいね」


 当然です。


「じゃあ、何か、お話しして」

 えっ?


「美弦くんの、そうだな。初恋の話とか」

 マンマですけど、それがなにか?

「あっさりしてるなぁー」

 訊いておいて、なんですか。

「ていうか、おんなじ顔だよね。うわぁおー、美弦くんって、もしやナルシスト?」

 ……そうかもしれませんね。でも、べつに鏡が大好きとかじゃありませんけど。

「え、ナルシストって、鏡好きなもん?」

 違うんですか?

「さあ……でも、鏡で満足するかね」

 できないからナルシストなのでは?

「そうか……」


 あの、話がズレまくっていますけど。


「うん。美弦くんのお話」


 何の話ですか?


「募集しちゃう?」


 ええ?

 集まるかな?

 僕、主役でもないですし。


「一応、きみがお気に入りだと言ってくださってる方がいらっしゃるよ」


 猗綺子さん、社交辞令って言葉、知ってますか。


「知ってます。覚悟もしてます。でも、信じてるんです、本気で仰ってくださったって。だって私も、美弦くんを愛してるもん」


 僕、猗綺子さんのことは おかーさんだと思ってますけど……ちょっと愛してはいないかも……。


「ええっ。そんな! 殺生な!」


 だって、僕のこと、脇役にしたじゃないですかぁ。


「あ、それ? だって、美弦くんは恋愛優等生っぽいんだもん。波乱万丈は望めないでしょ? つまんないじゃないですか」


 綺音だって、まだ何の進展も……何もないじゃない!


「ああ、私が遅いですから」


 自覚はあるんですね。


「うん……」


 とにかく!

 募集するんですね?

 僕についての話題、ご質問。


「うん! なんか、面白そう」


 べつに僕に限ることないんじゃないですか?

 綺音や奏のことも、知ってる限り、お話ししますよ。

 パーパとマンマのことは、生まれる前のことなのでお話しできませんけど。


「そうだね。美弦くんが話せることなら、OKかな」


 というわけで、皆さま。

 よろしければ、猗綺子さんにつきあってあげてください。

 僕に打ち明けてほしいこと、訊きたいこと、募集します。

 基本、お名前をご紹介してしまいますが、匿名希望の方は仰ってくださいね~。


 募集は近況ノートで。

 よろしくお願いします。

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