第6話 アニメより行方不明の首

 ねえ、猗綺子さん。

「んー?」


 大丈夫なんですか

「なにがー?」


 あと3話ぶんしか、ストックないですよ。

「ひっ」


 ……………………!!


 どこまで進んでるんですか? あ、ああ。そこか。なんか、懐かしいです。


「君の中では、どこまで進んでんの」


 ……。まあ、そこそこまで。


 綺音が奏以外の友達を連れてきたのって初めてで。でも、僕も友達を家に呼んだこと、ないですけどね。


「それって、なんで?」


 あなたが訊きますか。


「うん」


 祖父から言われてるんです。

 友達とは、外で遊べ。家の中で遊ぶんじゃないって。


「へー、意外。美弦くんが外遊びをするとは」


 してませんよ?


「へっ?」


 小さいころから、ピアノピアノで、友達と遊ぶとか、あまりなかったです。あっても、綺音と奏ぐらいとしかなかったですから。


「え、じゃあ、小学校で1人じゃないの? 寂しそう」


 いえ、何かと構ってくれる子たちはいますから、ご心配なく。校外でのおつきあいがないだけです。


「ふうーん」


 たぶん、綺音もそうですよ。

 奏とは、ヴァイオリンの繋がりがあるから、ずっと一緒ですけど、ほかの子たちとは、どうしても距離ができてしまうんです。家庭の違いもあると思いますけど。話題がかみあわないんですよ。


「話題?」


 昨日観たアニメや特撮の話と、ハイドンの首が行方不明だったことがあるって話じゃ、かみあわないでしょう?


「……美弦くんの興味って、オカルト?」


 いえ、僕、ハイドンの「時計交響曲」と「驚愕」が好きなんです。

「うん」

 その話を、玲子さんにしたら、教えてもらったの。

「ハイドンの首が盗まれた話を?」

 そう。

「……彼女らしいっちゃ彼女らしいか。小学生に、そんな話。怖くなかった?」

 ううん。アインシュタインの脳も勝手に取りだされて研究者たちに分割されたんだってね。ガリレオ・ガリレイの指も、保管されて展示されてるんでしょう?

「どこで仕入れたの、そんな話!」

 全部、玲子さんに聞いたよ。

「あの女性ひたぁ……」

 玲子さんも、あのひとから聞いたんだってね。

「……! 美弦くん、それ、秘密だよっ」

 え? あれ? これ、機密セグレート

「機密っつーか、秘密!」


 なんか猗綺子さんが焦ってるので、今回はこのへんで。

 失礼しまーす!

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