第3話 己が想い
第3話 己が想い
一行を呼び止めたのは、タオ似の青年だった。
横には、エクス似の少年も一緒だった。
二人の手には、自らの空白の書。
空白の書を手にしたタオ似の青年が、
「今までこの本がなんなのか全く考えたこともなかった。
自分の事だって、あまり気にしたことはなかった。
でも、今まで自分が何者なのか、ずっと知りたいと想っていたんだ。
だから・・・・
俺たちと、戦ってくれないか?!
戦って、それで何かがわかる。そんな気がするんだ!
だから、出て行く前に、俺たちと戦ってくれよ!」
二人の顔は真剣そのものだった。
彼らの真剣な眼差しに、タオは“己が身と鏡映し者現る時、己がすべき全てを理解するだろう”という言い伝えを思い出した。
そして、
「ここで引き下がったら男じゃないよなエクス!」
「うん!そうだね!」
と言って、タオとエクスは振り返り、タオ似の青年とエクス似の少年のもとに駆け寄った。
そして、そのまま4人はお互いの持つ空白の書を開き光に包まれた。
村の出口でシェインは、
「まったく、男ってのはどうしようもないですね。
これは・・・凸凹コンビ VS 仲良し兄弟ってとこですかね。」
そう言って、軽く笑みを浮かべタオとエクスの背中を見送った。
戦いの中、4人は笑みを浮かべ、自分の力を出し切り戦いあった。
結果としてタオとエクスの勝利ではあったが、タオ似の青年とエクス似の少年は満面の笑みで地面に大の字になって横たわっている。
「こんなことしても、“自分が何者なのか”なんて答えがわかるわけないか。
でも、楽しかった~。」
「そうだね。
僕も、こんなにすっきりした気分になるのは初めてだ。」
そう言って、タオ似の青年とエクス似の少年はお互いの手を取り合い立ち上がった。
満足げな兄弟の後ろから、浮かない表情のレイナ似の少女とシェイン似の少女が現れた。
「なんで・・・・・
私だって・・・」
と言って、レイナ達に近づく少女達の手には、空白の書があった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます