輝きし国―Create Human―

『旅 ―機械と人―』より

「前書き」



 これを書くに当たり、私は協力してくれた二人の友人と仲間に感謝をしなければならない。

 彼らの協力があったから、私はこの一作を旅の道中に書き留める事ができた。

 彼らの情報があったから、私は旅の中で死に絶える事は無かった。


 世界は終わった。鋼と瓦礫の大地に曇天に塗れた空。吹き渡る風に味は無く、どこか虚しく、耳に届く音もほとんどない。

 それが、我々の知る外の世界だ。

 その世界を、誰よりも先に渡り歩き、かつて人が行った交流を行う彼らは、正式に旅人と言える存在だ。


 誰かが彼らを余所者ストレンジャーと言った。私はその蔑称は的を得ていると感じたのだ。勿論、悪い意味など破り捨てるべきだが。

 旅人ストレンジャー。この世界には消えていた人々。壁に囲まれた国に引き籠った我らが人類とは違う、外の世界を支配する管理者アドミニスターなる存在とは違う、第三の存在。誰よりも人を、外を、世界をその目で見てきた者達。


 私は彼らに敬意を抱こう。彼らのおかげで、私は旅人となった。そのキッカケを作ってくれた。

 旅。それは新時代を切り開く手段であると私は考える。人間の力は強い。管理者の支配などを超えてしまうほどに。そのキッカケも全て、旅人のおかげだと聞く。


 これは旅の記録だ。ある友人から教わった、この世界のお話。

 私が世界を知りたいと彼に頭を下げ、口頭ながらも語ってくれた国の記録。そしてそれを、この目で、肌で感じたいと思い、私が自身の脚で赴いた現在の記録だ。


 その始まりを記すとしよう。

 最初の国は私が生まれた国、友人の一人は輝しき国と喩えた、クレートフーマンと名付けられた国だ。

 ここに、私の知る始まりの記録から、最新の記録をこの紙に残す。


 これは、僕が、これ・・を書くキッカケとなったお話だ。

 そして、僕が、旅人となるキッカケとなったお話だ。




―――――――Next Page―――――――



「輝きし国 クレートフーマン」

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