第7話 鎖骨。首筋に一筋の紅。

貴方が優しく微笑んだ。


ベッドに2人で横になり、お互いを見つめあう。


でも、私の目には貴方の鎖骨が映った。



あぁ、首筋に牙を立てて血を啜りたい…


そうして流れ落ちた血液が鎖骨に溜まっていったらどれ程に綺麗だろうか…


なんて魅力的な鎖骨…




『ねぇ、貴方の血をちょうだい?』

『いいよ…』




口の中に広がる鉄の味。


私は恍惚としながらも、唇を離した。



あぁ、ほら…

やっぱり綺麗…




『綺麗だわ…』

『そうかい?』

『えぇ…』




どちからともなく口付けて、私はまた貴方の首筋に唇を当てた。




『愛しているよ…』




そう言って微笑んだ貴方の顔が蒼白かった…


でも、私は止められなかった…




『私も愛しているわ…』




そう囁いた時には、貴方はもう既に過去の人になっていた。





fin.

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享楽 葱丞 @kurotasousuke

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