第6話 血管。管を流れる血液の美しさ。

寝転ぶ貴方の額に血管が浮かぶ。


私はソレを喰い入るように見つめていた。



『綺麗…』



ふと呟いた言葉に貴方が此方を向く。



『ん?どうした?』

『いえ、何でも…』

『そうか…』



そう言って貴方は私に口付ける。


その間にも、私の目には血管が映っている。


『やっぱり綺麗…』

『何が?』

『あ、あの…その…』

『また俺の血管見てたでしょ?』

『…ッ?!』

『俺知ってるよ』

『ご、ごめんなさい…』

『謝らなくていいよ、別に』

『貴方の血管があまりにも綺麗だったからつい…』

『そんなに綺麗?』

『えぇ…』



私が血管から目を離さずに言うと、ふと貴方はカッターを取り出した。


そして自分の肌に刃を滑らせ、血管の浮かぶ腕に血が伝った。



『やっぱり綺麗だわ…』

『ふふ、君も変わってるね』

『ん…』

『俺も似たようなもんだけど…』



そして、またどちらからともなく口付けを交わした。


何だか、血の味のするキスだった。





end.

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