ミステリ小説の冒頭、「事件が発覚する前のとぼけた日常会話」を愛する著者が、カクヨムサイト上の「ミステリ」ジャンルの小説を、古い順に、最初の1話だけ読んで、レビューを書く。
古い順に読んでいくという性質上、著者がレビュー対象を選ぶことができないからか、時折「何故俺はこんなもんのレビューを書いてるんだろう」という、困惑、絶望や苛立ちが見受けられる。その中で、本当に楽しそうに作品を語る回を読むと、それらが際立って面白そうに見えてくる。とはいえ、ネット小説がそう簡単に完結するはずもなく、読みに行っても完結している作品の方が少ないのだが。
所々に挟まれるミステリ小説・作家に纏わるジョークやパロディは、衒学と言うより悪戯の類で、ネタがわかれば笑えるし、わからなければ言葉遊びとして流してしまえる、口当たりの良い書き味だ。企画自体がジョークのような物だからこそ、気楽に読める。
これは、ミステリやネット小説の新しい読み方なのかも知れない。