works/4852201425155004993

『理系女子のブルーな二月』

https://kakuyomu.jp/works/4852201425155004993/episodes/4852201425155005003


 不思議なもので、かつて、理系とミステリが、相容れないジャンルだと見なされていた時代が、あったのだ。

 よくよく聞いてみれば、専門教育を受けた高学歴者がやくざな商売に落ちぶれることに、大衆が忌避感を覚えたというだけの話で、売文家がnovelを小説などと呼んで自虐した時代の名残なのだろう。


 理系女子、という種は多くの場合、男性比率が9割を越えるとすら言える、理系社会の中で、その感性と規範、常識や自意識を成熟させる。故に「理系学科の姫」は往々にして学舎単位での偏愛を受け、その常軌を逸した自己評価を固着させ、その死の縁まで理系女子として生きる。それは理系男子にとっての毒であり、文系男子にとっての刃物で、体育系男子にとっては理解不能な存在となり、芸術系男子にとっては同族嫌悪の対象だ。

 私は理系女子と聞くだけで未だに怖気と恐怖を覚えるものだけれど、実際、探偵が理系女子に嫌な予感を覚えるのも仕方あるまい。


 果たして相手は本当に理系女子なのか。それとも、単なる法曹系女子なのか。答えが出ないまま不安を煽って溜める引きが、映える。

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