works/4852201425154876927
『土岐明調査報告書「学僧兵」』
https://kakuyomu.jp/works/4852201425154876927/episodes/4852201425154876948
冒頭の一文。
「土岐明は平成22年という年を大震災の前年として記憶している。」
後から起こった出来事を、それより以前に起こった事柄の時間的指標にするのは、その両者に因果関係があるか、当時の日常を後に起こった出来事が終局に叩き込んだか、遥か昔に過ぎた時代を年表として記憶してしまっているか、の何れかに当たる場合が多い。
この事件(あるいは自殺)が発生したのが大震災の予兆であったということもなかろうし、建築基準法的に怪しい事務所に住んでいる土岐が「あの事務所で受けた最後の案件」として強い印象を持っているか、でなければこれは、後年、何度も読み返すことになった調査記録なのだろう。
ミステリにおいて、シーンをスキップしない執拗な時系列描写は伏線を埋めるためのカムフラージュとして広まった手法であって、作中ではこれを海野警部補による物証保存の話題で説明している。その他、些細な部分も含め、読み方を示すチュートリアルの用意と、順次での舞台拡張、UIに優れた良い1話だ。
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