works/1177354054880241398
『赤い鞄』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054880241398/episodes/1177354054880241543
バタフライナイフとは象徴だ。普段使いの刃物をバタフライナイフにする必要はあまりないし、サバイバルに向くわけでもない。強いていうなら折り畳んだ際の安全性が売りであって、後は開閉操作が格好良いって程度。リーチが長いわけでもないのに、投擲に向く造りでもない。装備すれば攻撃力が上がるような気がする、所持そのものに意味のある道具。これは弱者の武器であって、その名の通り虫けらの牙なのだ。
国内でのバタフライナイフのブームは20年程も前になるけれど、現代においてバタフライナイフというものがどういう形で、どういう機能を持っているのか、正しく把握している少年少女は少なくなってしまった。ますます単なる象徴へと近付いた道具が与える死因は、刺殺よりも呪殺の率の方が高い。バタフライナイフによる自傷とはつまり、一般的な自傷が解放を企図するのと逆に、封印を狙ってのものなのだろう。
誰かが、閉塞の内での自己洗脳により、封印を解放と信じてすがる様というのは良いものだね。
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