東京1-2
昨年の謎の大災害により関東地方のいくつかの地域は現在も瓦礫の山となっている。国は大災害の原因究明、被災者への対応に今も追われている。
その対応の一貫として東京の南方、日本海に人工島が設けられた。
そこでは彼の災害によって家を失った被災者への仮設住宅。身寄りを失った子ども達を預かり一時的に育てている施設や教育機関などがいくつか設けられている。
私、「凛」も災害により身内を失いその施設に住まわせてもらっている。今は中学3年生で来年には施設を出て私のような子どもの為に国が用意している特例奨学金を使い人工島にある高等学校に通う事になっている。当然、受験に合格する事ができればだが。
「凛、おっはよー」
突然、背負っているリュックサック以外の重みが私の背中を襲った。
「麻也香、おはよ。重たいよお…」
今井 麻也香。彼女は家族と共に仮設住宅に住んでいる私の友人だ。
麻也香は身長が高い。比例するように重さもあるため、比較的小柄な私には彼女は大荷物すぎる。
「重いぃ??女子中学生に向かって重たいとは失礼なっ私が重く感じるのはあんたがチッサイから、よ!……ちっさくて今日も可愛いなあああっあんたは!」
彼女の長所は、元気がいいところだ‥‥
学校に着いたのはクラス単位で行われる朝礼の数分前だった。教室に入ると仲のいいクラスメイトから声を掛けられて、私もそれに応じて笑みを返す。少しの間他愛もない話をしていると扉の開かれる音と共に男性教師が現れた。
いつものように全員自分の席へと戻ると、朝礼が始まる。
挨拶。
教師の実にならない自分話。
それから連絡事項へと滞りなく朝礼は進行される。
連絡事項の最後に、教師が言った。
「関東圏なんだがな、また小規模な爆発があったらしい。こんな事が頻繁に起こるようじゃ、日本中安心できないよな。という訳で今日の列島便は全て運航できなくなるみたいだから、把握しといてくれー」
『関東圏』と言うのは災害のあった地域やその周辺地域のことを言う。また、『列島便』と言うのはこの人工島から定期的に出される船で、私たちが日本本土に行こうとすれば幾つかの手続きをした後に、この船に乗るしか手段はない。
普通の島民からすれば「あっそうですか」「まじかー」、その程度のこと、だろう。
だが、「関東圏で小規模な爆発があったらしい」、ソレを聴いただけで私はとてつもない、女子中学生の出すはずのない程の殺気を一瞬溢れさせてしまっていた。
――――私の中には、『天使』がいる。当然、その事を知るものはこの島にはいない。そしてその『天使』は、東京を、関東地方を、日本を今の現状に陥れた『大災害』。ソレを引き起こす一端を担った『超常』だった――――
東京超常戦争 @turanari
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