2月15日のこと・・・・・・2

 ……こんばんは。

 すみませんが、今日はちょっと……調子が悪いもので……えぇ、本題には入りますが……。

 そこまで多くを話せないと思います。

 申し訳ございません。




 ヴィーン…… ヴィーン……



 ボクの携帯が鳴っているのに気がつきました。

 画面は半分から上が割れてしまっていて、誰からかかってきているのかはわかりませんでした。

 携帯を取ろうとしたときに、電話は切れてしまいました。

 その電話が切れる一瞬……ボクは妙な違和感を覚えました。


 画面が割れてしまって、誰からの着信かはわかりませんでした。

 それでも、着信があると、電話帳に登録されている人の写真は映りますよね?

 電話が切れる瞬間に……ボクは、見えた気がしたのです。

 その画面に、ひび割れた画面の中に……



 ヴィーン……  ヴィーン……



      霧島さんの顔が……



 ヒビの入った画面の中で、元の写真が映っていました。

 ヒビは顔の目の周りの部分を削っており、髪の毛、額の次は口元しかわかりません。


 ヴィ……


 電話は、すぐに切れました。ワンコール程度しか鳴っていないのですが、すぐに切れてしまうのです。

 そして、再び……着信がありました。


 ヴィーン…… ヴィ……


 その着信は、またすぐに切れてしまいました。


 …ーン… ヴィー……


 ボクは、次第に、その違和感の正体に気づいてきました。


 ヴィーン……


 その画面の中の――霧島さんの口元が……緩んでいることに。


 ヴィ……


 ヴィ……


 着信が早くなればなるほど、その変化は明確でした……


 ヴ……

 ヴ……

 ヴ… ヴ… ヴ… ヴ… ヴ… ヴ… 

 ヴ… ヴ… ヴ… ヴ… ヴ… ヴ…


 画面の中で、霧島さんは、不気味な笑みを浮かべていったのです。

 そして、画面の中の霧島さんの手が……

 自分の顔に触れ始めました。


 携帯の画面の、ちょうど、ヒビが入っているところ……そこに手が差し掛かっていました。

 その手を、彼女が下ろした時……


 手が、無くなっていました。

 同時に、携帯の画面のヒビの入ったところから、血が流れてきたのです。


 ボクは、思わず携帯を手放してしまいました。

 携帯の画面は、未だに着信を告げていましたが……

 地面に叩きつけられたのと同時に、その着信が止まりました。


 ちょっとした静寂がありました……しかし、変化は急に訪れたのです。

 着信と同時に浮かび上がる、血のように赤い、奇妙な文字が……





 ヴィーン……イタイヨ   ヴィーン……イタイヨ


                 そのとき……

 ヴィーン……ドウシテ   ヴィーン……ドウシテ


                 ボクは気づいてしまった

 ヴィーン……メガナイノ   ヴィーン……ドコイッタノ


                 それでも振り向けなかった……

 ヴィーン……テモナイノ   ヴィーン……カオモナイノ


                 背後から近づく音が…聞こえる

 ヴィーン……ワタシノカオ   ヴィーン……ホシイヨ


                 背筋が凍るほどの

 ヴィ……





                 目のない視線が、迫っていた





 ヴィーン……あははははは   ヴィーン……あはははははは

 ヴィーン……あははははは   ヴィーン……あはははははは

 ヴィーン……あははははは   ヴィーン……あはははははは

 ヴィーン……あははははは   ヴィーン……あはははははは

 ヴィーン……あははははは   ヴィーン……あはははははは









 ボクは……恐る恐る、背後を見ることを決めました。


 心臓がはちきれそうになるくらい弾んでいるのがわかりました。

 それでも、背後から近づいてくる、のそり、のそりと布を引きずるような音が、這って忍び寄ってくる音が聞こえたから。



 ボクは……



 ゆっくりと……




 後ろを振り返りました……。






 そこには、何もいませんでした。


 ボクの視界には、保健室のベッドがあるだけ。






 あれ……?


 気がつきましたか……?





 そこにいるはずのものが……ないことに。





 今日は、ここまでにしておきます……。

 さっきから、ちょっと胸が苦しくなってきたものですから……。


 えぇ、ご心配なく。

 ちゃんとまた、お話しに戻ります。


 無理は致しません。

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