2月12日のこと・・・・・・3
……こんばんは。
あれ、こんにちはでしたか?
すみません、薄暗いので、てっきり夜だと思っていたのですが……。
ここは、ごきげんよう、にしておきましょう。
……あなたを
はじめは、あなたは興味本位でここに来てくれましたね。
ボクは、それがとても嬉しくて、恋しくて、愛しくて……
ぜひとも、最後まで話を聞いてもらいたいと思ってしまったのです。
あなたはその端末の画面の前で、釘付けのまま、ボクの話を聞いてください。
――二年前、2月15日。
「……ありがとう、ミコト。嬉しいよ、ボクのために」
「……。」
「あれ、泣いているの?」
二年前の今日、ボクたちは、殺害した冴島さんの死体遺棄場所まで来ていました。
カノジョの死体をしっかりと隠すために。
埼玉県戸田市の近く、荒川沿いの公園の林の中に、カノジョの死体を置き去りにしたのです。
……えぇ、もちろん、隠すつもりなんてありません。
……悪いのは、カノジョですから。
置き去りにはしましたが、ちゃんと、カノジョの中身は持って帰りました。
家のお人形さんたちに合うかどうか、試したかったから。
ボクは、ミコトを自宅まで招待しました。
ミコトは、家に入るなり、リビングにいるソレらに向かって挨拶をし始めました。
返事がないことに不審がったミコトは、ソレらに近づいて行きました。
ソファーの横に立ったとき、ミコトは気づきました。
ミコトは、喜んでくれていました。目と口を大きく開けて、「ハ…ハ…ハ…」と。
そこにへなへなと座り込むミコトを見ていると、カーペットがじんわりと湿っていくのがわかりました。
「わ……わたし……」
無理もないですよね。だって、ハジメテ人を殺したばかりですし。
だから、ボクは彼女を優しく抱きしめてあげました。
「大丈夫だよ、君のことは、ボクが必ず守ってあげる」
耳元で、そっと呟くと、彼女は涙を流して、泣いて喜んでくれました。
でも、彼女は少しずつおかしくなってしまったのです。
そして、二年後の、この前の2月12日……。
彼女との些細な喧嘩で言われたコトバ――。
そう言って、彼女は走り去ってしまいました。
ボクが本当に最後に見たのは、彼女が他の男と一緒にいる姿でした。
まぁ、遠目からだったので、男かどうかは、正直わかりません。
恨めしいほどの気持ちを抱えても、でも、ボクはミコトを愛していました。
それが、ほかの誰かと一緒にいるだなんて、ボクの心がおかしくなりそうで……
ボクは、その場から離れることにしたんです。
――でも、その人が、今、目の前にいるのだとしたら。
――自分の愛している人を奪った人が
……あなたなら、どうしますか?
あははははははははははは
あはははははははははははははははは
ははははははははははははははははははは
ははははははははははははははははははは
――ごめんなさい、本来の話から脱線して。
ボクの身の上話をしていたら、つい、うっかり驚かせてみたくなってしまって……。
まぁ、ボクがさきほどまでしていた話は、これまでの
ちょっと、主観が入っているかもしれませんけどね。
びっくりさせてごめんなさい。
ボクも、なんでこんな話をしてしまったのかわかりませんが、次はちゃんと話を戻します。
……えぇと、文句があれば、その……一生懸命話しますので、応援してくださいね。
では、今日はこの辺で。また……話を聞いてくれると嬉しいです。
まぁ、無理にとは言いませんが。
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