第3話 記憶



「  なんで・・・


   なんで浮気したんだよ・・俺の事嫌いになったの?     」


「  ・・・うるさい                     」


「  は?                          」


「  うるさいって言ってんの!

   あんたなんかにわかんないよ!

   あなたは私の犬みたいに懐いてればいいのよ‼

   ペットは主人に服従、主人は主人!

   だからなんでもしていいの‼               」


「  ・・・・お前ってそんな人間だったんだな・・・      」


「  今更なに言ってんの?ずっと家まで送り迎えしてたくせに

   そうゆうあんただからこれまで付き合ってたんじゃん!   」


「  そうか・・じゃあ、別れよっか・・            」


「  え。嫌だよ・・別れるなんて考えたくないよ・・・     」


「  お前マジで言ってるの?ふざけんなよ、こんだけ言われたら誰

   だって別れるわ・・・じゃあね、次会うことはないだろう。 」


「  嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

   そんなの無理、ダメ、離さない、             」


「  お前ほんとに都合がよすぎるよ、わがままだよ、

   ごめんなもう無理なんだ、さよなら            」


「  そんなの認めない・・私のもとから離れようとするならッッ‼」


「  うッッ!?——        お、お前・・——     」


「  全部あんたが悪いのよ・・・・              」


「ニュース速報です、町で男女のトラブルがあり、男は刺されて重傷

女は自殺した模様                       」


しかし警察は事件性があると指摘し刺された男を容疑者として逮捕した

男の名前は――       佐藤 遥火





「———くーん・・」

「はるくーん!」

「あッ!ごめん‼」


ついボーっと考え込んでしまってた。


「はい!かき氷♪」

「お!ありがとう!わざわざ買いに行ってくれて。」

「ふふん♪できる女の子は違うのだ!」


俺たちはあれから人が集まる場所にもどって来て屋台を回った。

彼女はなんでも楽しそうに遊んで、美味しそうに食べて、それを見ている俺も心の底から楽しかった。


「はるくんさ、さっきボーっとしてたけど、何考えてたの?」


彼女は心配そうな目で俺を見た。


「いや、昔のことさ・・ちょっと元カノとトラブルになったこと思い出しちゃってて・・・あ、」

俺はとんでもない爆弾発言をしてしまったッ!

こんなデートしている女の子にする話でもないし、聞いても相手を困らせるだけの発言だった・・・


少し沈黙が続いた

やっちまった・・と、俺は絶望を垣間見た。


「はるくん・・」


彼女が口を開いたとき、俺は耳を塞ぎたくなった。。

だがしかしッ!


「過去に大変な思いしちゃったんだね・・

でも大丈夫だよ、うちは、はるくんの味方だからね?

はるくんが辛いときはいつも見守ってあげてるから・・」


思いのよらぬ言葉だった。

優しすぎる・・・こんなに優しさにあふれた子は会ったこともない・・

俺は気づいたら目から涙が出てた。


「ふぇ!は、はるくん!目から汗が出てるよぉ!」

「い、いや、ごめん!ってかそれ君が言うんかい!ww」


彼女の冗談が俺を心の底から笑顔にさせた。


「ふふふ♪はるくんが初めて笑ったね♪」

「そ、そう?さっきも笑いながら喋ってたじゃん!」

「んーん、心からは笑ってなかったよ。だから心配しちゃった」


彼女は気づいていたのだ、俺が愛想笑いをしてたことに。

全部見透かされている・・

俺は愛想笑いには自信があった。

だが、どうしてなんだかわからなかったが、そんなことはどうでもいい。

忘れていた感情が芽生えたのだ。


「ありがと・・・・てか、見守るってどうやってだよw」


彼女は人差し指を上に向けた


「空から!」


俺は唖然とした、


「そらぁ?衛星管理でもされるのかな?」


彼女の斜め上の冗談には毎回癒される気もした。


「ふふふ♪はーるくん♪」


その言葉でキュンとした。


「ってかいつの間にか僕の事あだ名で呼んでるよね」

「えー!いいじゃん!はるくんもうちのこと呼んでよ!」

「え・・・じゃあ・・玲奈さん?」

「もー!はるくんもあだ名で呼んで!あーだー名!」


彼女の強引さには頭を抱えたが、嫌な気はしなかった。


「じゃあ、れいぴっぴ?」

「だ、ださいよぉ・・・」


俺はあだ名やニックネームを付けるのが苦手だった。ゲームの主人公の名前すら1時間も悩む位だ。


「だめだ、思い浮かばない・・・玲奈ちゃんじゃだめかな?」

「むー、それは他人だよぉ、呼び捨てでお願い♪」


呼び捨て!?

まだ会ってから間もない少女にそれは・・・

だが、俺には選択の余地はなかった。


「れ、れいな・・・」

「はい!よくできましたぁ♪」

「(こ、こいつ・・)」


でもかわいいので許した。


「はるくん、次いこー!」


いつの間にか手を繋いで彼女と歩き出した。そんな彼女に心まで惹かれるようについて行った。

しかし、そのとき。


ドンッ!


「あ、ごめんなさい!」


俺は彼女に気を取られ周りを見えてなく、人にぶつかってしまった。


「あ、大丈夫です・・・」


      「え?」


そこで出会ったのは、死んだはずの元カノだった。

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