少年戦記
二徐仍
第零話 プロローグ(Prologuc)
始めに自分の場所を理解したキッカケは、壁だった。
白をベースに少しだけ黄色を入れた、世間でいうクリーム色という壁だった。
だが、肝心な「なぜ、ここにいるのか。」というのがわからなかった。
頭をグルグルと回転させるが、一向に答えは出ず、そのかわりなのか頭がクルクル混乱してきた。
なぜか、呼吸を欲し、息をあらげて、こう心で叫ぶのだ。
「一体、何が起きているんだ。」と。
そして、呼吸が落ち着くと、今度は視界がぼやけて自然と声が出た。
落ち着いた呼吸もまただんだん独特な呼吸をして、顔を濡らしていくのだ。
頭のなかでは段々意識が遠のき、次に気づいたのは、薄い青色の部屋の中に人らしきモノがうつっているということだった。
周りの人から見たら何年か経っているであろう時間を今、初めて思い出したときはなにか頭の中にあった何かが大きな音をたてて、外れ 声に出していうなら、「スッキリ解決~」といっている気分に襲われた。
でも、何年かの間の疑問がない。
そのスッキリとした気分はまたしても、天国から闇社会に一気にいったかんじの気分へと早変わりしていた。
あの時のような息苦しさは感じず、独特な呼吸もしない。
ちゃんと吸って吐いてを繰り返して行っている。
まあ、生きている。酸素の量も少しだけ多くなったぐらいにしか感じない。
でもこれが、"成長"というものなのだろう。
「ティニーくん、ティニーくん。」
それにしても、ここはなんて明るい部屋なんだ。
メガネをかけたように周りがボヤけている。
「ティニーくん、ティニーくん?」
段々、見えるようになってきた。
すると、私が暮らしていた2013年にはもう壊されているものがそこらじゅうにあった。
ランプ、テーブル、椅子、お皿、服、全てが一昔前ものだ。
「こら、ちゃんとお口を開けましょうね。」
周りが気になってしまい、目の前にあるスプーンを見落としていた。
でも、なんで目の前にあるんだ。
ちゃんと『ティニー』っていう人物にあげなければ、口を開けても意味がないじゃないか。
すると、目の前の女性は痺れを切らし、
「好き嫌いはいけませんよ。」
といって、スプーンは私の口の中に入っていった。
これは、「ティニー」が私であるだということを、「ティニー」につきつけた。
野菜の味はよくわからないが、この時初めてティニーは最大の難問を頭を回転させながら、口の中の異物を噛み砕いていた。
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