五冊目――五年目の記録
五年生
お母さんの目をぬすんでこっそりゲームしてたことがバレました
たくさん時間をかけて 一生けんめいみんなを集めたのに データを消しなさいって言われました
レベル100まで上げた げんのすけと はなれるのが いやだったので 反せいするからゆるしてっていったのに お母さんは聞いてくれませんでした
お母さんは自分がぜったい正しいっていいます
私はまだちいさいから ちゃんと考える力がないから お母さんに従っていればいいんだって、そういいます
私は
私はもうそんなに小さい子じゃないです
お母さんはいつも私の話を聞いてくれません
なのに私はお母さんの言うことを聞かないといけません
不公平だと思います
ゲームのデータは消しました
お母さんの見てる前で消しました
そのあとで、悪い子ノートを書きました
かがみの中の自分をしかると、なんだか悲しくなります
林間学校のお知らせが来たのでお母さんにわたしました
お母さんがぼそっと このお金がなければガチャができたかもしれないね って言ったのを私は聞きました
お母さんにとって私はガチャみたいなものなんでしょうか
お母さんは私に林間学校行かないって言ってほしいのかもしれません
でも私はみんなといっしょに林間学校行きたい
本当の良い子ならこんなときどうするのかな
私は良く分からなくなったから 先生に相談してみました
先生には私のぎもんがよくわかってなかったみたいです
私はおかしなことを聞いてしまったのかな
いっしょうけんめい せつ明したから なんとなくわかってもらえたと思います
先生は、いい子だから林間学校に行ったらいけなかったらクラスのお友達のほとんどみんなは林間学校行けなくなっちゃうよ、って笑って言ってました
たしかに その通りです
いじめっ子しかいかない林間学校なんて何にも楽しくありません
でも逆にそうなったらクラスがへいわになっていいかもしれないです
私が林間学校の準備をしていたらお母さんが何回も何回も、ねぇ本当に行くの? 大丈夫? って聞いてきました
そんなに言ってほしくないなら そう言ってほしいです
私が林間学校に行くお金をガチャに使いたいならそう 言ってほしいです
林間学校楽しかったです
ごはんがおいしかったのがすごく良かったです
楽しかったお話を聞いてもらいたかったけど、私がいない間のお母さんのことをずぅっと聞かされました
何回も何回も、あなたにはお母さんが必要なんだよ、って言われました
私には言葉のい味が良く分かりませんでした
でもたしかに 私にはお母さんが必要なんだと思います
お母さんとお父さんに捨てられたら私はごはんを食べられない
例えおいしくなくってもごはんが食べられないと人は死んでしまいます
道とくの授業でジャンバルジャンのお話を読みました
おなかが空いてどうしようもなくなっちゃったら私も同じようにぬすんででもごはんを食べようとしちゃうとおもいます
それは私が悪い子だからなのかな
私が悪い子だからお母さんは私を愛してくれないのかな
いい子にならないとそのうち本当に捨てられてしまうのかな
おなかが空くのはつらいです 一人ぼっちはさみしいです
でも 私は一人ぼっちなのかもしれません
だって、さみしい
学校で習ったパソコンの使い方を家で練習しようと思ってお母さんにないしょでパソコンの電源を入れてみたらすぐにお母さんに見つかってしまった
パソコンの授業の復習をしようと思ったのって言っても、お母さんは聞いてくれなかった
でも私がこっそりパソコンでインターネットをしようとするぐらい興味を持ったんだって思ったみたいでこれからはお母さんといっしょにならパソコンを使ってもいいことになった
でも悪い子ノートは書かされた
かがみの中の私は私のことをわらってる気がした
きっと気のせいだとおもう
そうじゃなきゃ、私は私は自分のことをわるい子だって言いながら、自分のことをしかりながら わらってることになっちゃう
こわいよ
お母さんと一緒にパソコンを使おうと思ったら、今手が離せないけど今日は特別に先に使っててもいいよって、お母さんが言ったから いつもみたいにインターネット見るやつをつけて けんさくしようとマウスをクリックしたら けんさくようの四角いところに
子供 捨てる方法 子供 殺したい 子供産んでこうかい
なんて言葉が並んでて、私はこわくなってすぐにパソコンのインターネットをバッテンしてお布団へ逃げちゃった
いま、お布団の中で日記をつけてるの
私は良い子でいなくっちゃ
いい子でいなくっちゃ お母さんに捨てられる
すてられたら私はジャンバルジャンみたいには生きていけないよ
私がいい子にして、お手伝いもしたらお母さんがいい子だねってほめてくれた
信じられなかった
そんな風にやさしくして、私のことをすてるのかもしれない
こわい
お母さんがこわい
もしかして私は本当にお母さんとお父さんの子供じゃないのかな
だからお母さんもお父さんも私のこと好きじゃないのかな
でも捨てられないようにしないと 私はまだ死にたくないよ
お母さんの笑った顔がこわい
お母さんは私のことをじゃまものだって思ってるんだ
きっとそうだ
お母さんは私よりもガチャが好きなんだ
お母さんは私よりもお父さんと二人きりで旅行に行きたいんだ
きっとそうだ
私はきっといつかお母さんに捨てられるんだ
いい子にしてないと明日にも捨てられちゃうかもしれない
いい子にしてなくちゃ いい子にしてなくちゃ
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