三冊目――三年目の記録



三年生


 私ももう おねえさんです

 犬を見ると アーノルドを思い出します

 アーノルドは私がわるい子だったから いっしょにいられなくなりました

 私がわるい子だと かぞくが かぞくじゃ なくなるんです


 私はいい子でないといけないんです

 でないと わたしは お父さんと お母さんと かぞくじゃ なくなってしまうかもしれません

 私は ひとりぼっちが こわいです

 だから かぞく じゃないと ダメです

 私はいい子じゃないと いけません



 ごはんが おいしくないです

 味が しない

 私もお母さんと同じごはんが食べたい



 いっしょのごはんが食べたいって言ったら、お母さんは私はまだ小さいからどくになるものは食べさせられないっていった

 おいしいごはんが どくなら クラスの子はみんな どくごはんを 食べてることになると思う

 でもみんな元気だ

 お母さんの言ってることはへんなんじゃないかって このごろ 思う



 私はわるい子だ。私はわるい子だ。わたしはわるい子だ

 わたしは、わるい子じゃないよ。わたしは、わるいこと してないもん

 わたしは わるい子



 にっきにかいたおぼえの ないことが かいてある

 でも 私と 同じ字で かいてる。

 私はいつ 日っきにかいたのかな?



 学校のしゅくだいで リコーダーのれんしゅうをしてたら お母さんに うるさいっておこられた。

 学校のしゅくだいをするのはいい子なのに いい子だから学校のしゅくだいを してたのにわるい子っていわれた

 私もう よくわからない


 お母さんの言ってることは 変なのかもしれない

 でもわたしはわるい子だから いい子にならなきゃ


 大事にしていた お人形を すてられて しまいました

 いつもみたいに学校からかえってきて おへやに入ったら あるはずの お人形さんは なかったです

 わたしは大事にしていたのに お人形さんはなかったんです

 どこにいったんだろうって ずっとさがしてたら お母さんが どうしたのって きいてくれました

 だから お人形をさがしているの って正直に はなしました

 そしたら おかあさん こういうんです

 きたなかったから すてたわよ って

 大事に していたのに わたし ずっと だいじに していたのに すてられちゃいました

 なんで なんですか?

 わたしの思い出は お母さんにとっては きっといらない もの なのかもしれません

 もしかして わたしもいらないもの なのかもしれない ですね

 あれ なにを かいているんでしょうか これ

 わからない



 もう一回アーノルドといっしょにくらしたい

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る