二冊目――二年目の記録

二年生


 二ねん生になりました

 二ねん生はトマトをつくるんだそうです。たのしみです

 わたしは トマトが たべられます。すききらいは しません。 すききらい しないのが いいこのじょうけん です


 あいかわらず お母さんは わたしに かがみのまえで はんせい するように いいつけます

 わたしは いいこです

 わがまま も ほかのこよりも ずぅっといいません なのに わたしはなにを はんせい すれば いいんだろう



 ワンワンをみつけました あめが ふってて さむそう でした

 めをあわせたら ひとりぼっち で なきたく なりました

 どうしても ワンワンが かわいそう でした

 きっと ワンワンを ほうって おけない わたしは わるいこ です

 でも やっぱり わたしには ワンワンを ほうって おけませんでした

 だって あめは つめたい です

 ひとりぼっちは さみしいです



 こっそりつれてかったら お母さんに ばれて しまいました

 わたしは また わたしを しかりました。

 はんせい しなさい といわれました。だけど わたしは がまん できません でした

 だって ワンワンが かわいそう です

 だから おせわするから と いいこにするから と いっしょうけんめい お母さんに おねがい しました

 いつもの さんばい はんせい して それで ワンワンを かうことを みとめて もらえました

 これからは いっしょだね ワンワン



 きょうは いちにち アーノルドの なまえを かんがえて いました

 わたしが だした プリン メロン ココア モカ げんのすけ バンバン というあんは お母さんに ダメといわれました 

 さいごには お父さんの きめた アーノルド という なまえに おちつきました

 アーノルドが 男の子だった からです

 男の子だったから ほんとうは げんのすけが よかった です



 さいきんきがつきました わたしの ごはんは あじが うすいです がっこうのきゅうしょくは しっかりあじが ついてて おいしいね とおともだち に いったら おうちの ごはんの ほうが おいしいよ っていわれてしまいました

 わたしのごはんは いっつも にんじんなら にんじんの あじしか しないので へんだと おもいました

 こっそり お母さんの ぶんを つまみ ぐいしました

 わたしのと ぜんぜん ちがうあじがしました おかあさんだけ ちゃんと あじのついている ものを たべて ずるい とおもいます



 あしたは まちにまった 遠足です がんばって 遠足という字をれんしゅう してかけるようになりました

 遠足 たのしみ



 お母さんはひどいです



 きのうは にっきを かくのをおやすみ しました

 つらいことが ありました

 おもいだしながら かきます

 アーノルドが かぞくじゃ なくなりました

 えんそく から かえってきたら お母さんが こわいかおを していました

 わたしも こわくなりました

 おかあさんは わたしに いいました

 ちゃんとアーノルドの せわ する っていったよね? っていました

 わたしは それに うなずきました わたしがそういって たのみこんで アーノルドを かい だしたんです おぼえてます

 アーノルドは 今日 あさごはん をたべられませんでした ってお母さんがいいます。わたしは えんそくに むちゅうで アーノルドに あさごはん をあげるのを わすれてしまいました ごめんね アーノルド


 それで、お母さんが おせわ ちゃんと できない なら アーノルドはかえませんっていいます

 わたしは ごめんなさいって いいました つぎは きをつけるから ごめんなさいって、 ごめんなさいって

 なのに おかあさんは、おかあさんは



 いっしゅうかんぶりの にっき です

 かくのを とちゅうで やめちゃいました

 おかあさんが アーノルドを ひとりで すてて きなさいって いって わたしは いっしょうけんめい おねがい したけど だめでした 

 わたしは なきながら アーノルドと おわかれ しました


 それから いつもよりも たくさん わるいこと ノートを かきました

 わたしは わたしは わたしは わるこです

 いいこに ならないと いけないです

 わたしは わたし わるいこです

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