人間だからこそ起きた1つのエゴ

 「リカ」を食べる……一昔前なら議論にも挙がる前に反対意見に押し潰されそうな事ですが、それが何百年も続き、今や不変のものになっている世界で起きた、主人公の心の微妙な変化。

 本人はエゴであると苦しんでいますが、きっとこの気分は「理科」の実験でカエルなどを解剖する際にどうしてもそれを目に入れたくない、そもそも解剖なんてしたくないと言う思いと同じなのかもしれないですね……。
 常識が異なる世界に読み手の「常識」が顔を出したとき、何が起こるのか……様々な事を考えさせるSF短編です。