小説にはいろいろな楽しみ方があると思いますが、その中の一つに、知らない世界を知れること、というのがあると思います。
そういう観点でいえば、この小説は、えらく珍しい、そしてほとんどの人は知らないであろう世界を扱っています。
スペインのレストラン業界。
スペインっていうだけでも珍しい上に、料理業界という、どえらい舞台設定です。だからこそ、私も含め、ほとんどの人にとっては、馴染みのない世界。「異世界転生」ものよりも、こっちのほうがよっぽど「異世界」です。まだ、剣と魔法の世界のほうが馴染みがあります(笑)
スペインの料理の文化から、暮らし、人々の性格、いろいろな事象がリアリティをもって、ストーリーの中に織り込まれています。本当に、そこで生きているような、ドキュメンタリーのような印象をもった小説でした。少なくとも私は、これを読んで、スペインに行きたくなりました。
(2017/02/09 レビュー再編集)
連載開始くらいから読ませて頂いておりました。完結、おめでとうございます。
私には馴染みの薄いスペイン料理やバルセロナの雰囲気に臨場感があり、作者様の描写の技が光ります。
主人公には予想外の事態が何度も待ち受け、そのたびにはらはらしながら読ませて頂きました。
最終話を読み終えたときには、「カルメンロス」と言いますか、喪失感を覚えました。そのとき改めて、楽しませて頂いたことに気づきました。
他人事のようですが、読み終えて感じたことは、(ざっくりし過ぎですが)「これも人生」ということ。
ある男性の生き様、見させて頂きました。
最後に。
すてきな作品をありがとうございました。