犬千代奮闘記

佐倉さんのお話が読めるの、楽しみにしておりました。
形としては整っていると思います。恵まれぬ境遇の四男坊が、己の運命と戦いながら最後には結果を掴む、と。
引っ掛かってしまったのは、主役が「前田利家」という点でした。犬千代時代の歴史を知らず、大大名として華々しい戦国武将になった前田利家しか知らないもので、まずそこで違和感があったんです。
終盤になってやっと「若い頃はそうでもなかったのだ」という事を表現されたいのは分かりましたし、その為に苦労の比重を大きく書かれていたのだと思います。また、前田利家という男の意外な一面を表したという意味でも、意義のある内容であったのだとは思います。
ただ、最序盤でそれが呑み込めていれば、もっと文章を噛みしめる事ができたかもしれません。