人生で一番幸せな一週間

再会

「茉莉が...日本に帰って来たって。」

こうちゃんが帰宅するなり、ポツリと私に言ったこの言葉を今でも覚えてる。

その時のこうちゃんの表情は、何の感情も読み取れないような顔をしていた。

確か...私も大した返事はしなかったと思う。

「へぇ～、そう。」くらいは言ったと思うけど...。

その夜から何日も経たないうちに、こうちゃんは茉莉さんと再会した。

　そして、その頃からこうちゃんは、徐々に家に帰って来なくなった。

私は何となく分かっていた。

きっと、茉莉さんの所に行ってるんだろう。

茉莉さんと一緒に生活を始めたんだろうって。

だけど、なぜだか私は聞けなかった。何一つ、言えなかった。

「どうして帰って来ないの？」とか、「茉莉さんと会ってるの？」とか。

ただただ、一人で毎晩泣いた。

こうちゃんの枕に顔を埋めて、誰もいないのに声を殺して。

　そんな生活が何ヵ月も続いていた時、私に小さな異変が起き始めた。