忘れられない人
こうちゃんには、五年間お付き合いしていた女性がいた。
茉莉さんという、綺麗で、花のように可愛らしい女性。
写真で見せてもらったことはあるけど、実際に会ったことは一度もない。
茉莉さんとは、結婚を約束していたらしい。
でも、ある日突然、茉莉さんはこうちゃんの前から姿を消してしまった。
こうちゃん曰く、
「自分の夢を叶えたいから、留学する。私の事は待たなくていい。」って言われたらしい。
そんな彼女との別れで傷心していた頃、私と出逢ったこうちゃん。
その頃のこうちゃんは...本当に心がなくなってしまったみたいだった。
人形みたいなこうちゃんを、どうしても助け出してあげたくて、色んな所に連れ出したり...兎に角、色々と思いつくことはやった。
そしたら、少しずつ顔に表情が戻って来て...。
気がついたら、私はこうちゃんのことが好きになっていて...。
それから一年後ぐらいに、私たちはお付き合いを始めた。
付き合い始めた当初から、私の方が好きだったと思う。
私の気持ちに必死に応えてくれて、こうちゃんはプロポーズまでしてくれた。
「忘れられないなら...無理しなくていいんだよ?」って何度か聞いたことがあった。
でも、その度に「無理なんかしてない。俺が一緒にいたいんだ。」って言ってくれた。その時のこうちゃんの気持ちは...本当だったと思う。
いや、そう思いたいだけなのかもしれない。
結婚する前から、私はこうちゃんの気持ちに気づかないフリをしていただけなのかもしれない。
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