ある日見た悪夢

ムー

ある日見た悪夢

あれは2、3ヶ月前に見た夢です。

今でもはっきり覚えています。


私は、大概夢を見ても、どこかメルヘンチックでファンタジーのような、悪夢とは掛け離れた夢を良く見ます。だからこそ、印象に残っているのだと思っています。


その日は何の変哲もない、土曜日でした。

交代勤務で疲れきっていたのか、早く眠りにつきました。


気がつくとそこは私が寝ているベッドでした。普段通り起き上がって、顔を洗い、ご飯を食べて、工場へ。朝礼をして生産へ。

実際このとき、休日が夢でこれが現実かと思うくらいに鮮明でした。


しかし、異変はすぐに起きました。

人と話している最中、意識を失い、倒れてしまったのです。


また気がつくと私が寝ているベッドの上でした。

変な夢だった。そう思いながらも、普段通りに事を済ませて工場へ。


こんな夢を見たんだ。

と先輩方に話しつつ、生産に入ろうとした瞬間でした。

また意識を失う感覚に囚われたのです。案の定、その場に倒れました。


気がつくとやはり私が寝ているベッドの上でした。

ここまで来ると絶対におかしい。自分は本当に夢から覚めているのか?

休日は現実で、働いているのが夢?

そんな自問自答と混乱で、身の毛もよだつ悪寒と恐怖でいっぱいになったことを覚えています。


これが、あと4、5度続くとさすがに気が狂い始め、早く覚めろ、覚めろと呪詛のように唱えていました。本当に必死でした。


そして、また目が覚めた時。今度はベッドの上ではなく、どことも知れない小屋の中で雑魚寝をしていました。

隣には何故か彼女がいて、

「目が覚めた?」

そう尋ねてきました。

さすがに気も狂いかけていたので、泣きながら安堵したのを覚えています。


それも束の間。

もう卒業した専門学校の同級生が小屋へ入ってくるなり、私と彼女を森へ連れ出したのです。

森の入口には「Pepperの森」と書かれていました。

中に入れば、名の通り。某携帯会社の白いロボットがたくさんいる森でした。


これは、いつもの夢に戻った!変な夢だけど、こういう夢を見たかったんだよ!

いつもの調子に戻り、心から安心しました。安心したのか、体から力が抜け、その場へ倒れ込みました。



ーやっと目が覚めた。

安堵に満ちて、起き上がると何故か夜で自宅の道路に横たわっていた。


また夢?さすがにしつこいだろ。


そうは思いながらも自宅のドアを開ける。

台所に電気が灯っており、夕飯時だったらしい。

「ただいまー」

と言っても返事は返って来ず、こだまするだけ。

とは言っても現実でも帰ってこないので、普通かと靴を脱いで、台所へ。

しかし、誰もいない。


隣の居間には、一人暮らしをしているはずの弟がゲームをしていた。

居るのはおかしいが、これは夢だったなと思いつつも、

「ってか誰も居ないんだけど、お前知らん?」

と弟に会話を投げつけると…


弟は何故か青ざめた表情でこっちを見てくる。

「何で青ざめてんだよ」

キレながら言うと、やっと弟は口を開く。


「なんで」


「なんでお兄ちゃん」


「ねぇ。何でお兄ちゃん、生きてるの?」

震えた声で話すところが異様に生々しかったのを身の毛もよだつ恐怖や背筋も凍るような悪寒と共にしっかり記憶に刻まれています。


ー生きてるの?


その言葉だけで


何とも言えない。

理解しがたい。

訳が分からない。

正体不明な恐怖を感じました。

あの恐怖は怖いを理解できるのに、言葉に表せないとてつもなく強い恐怖でした。


そこから逃げるように泣き叫び、断末魔の叫びを上げながら、外へ駆け出しました。


そうして、やっと目が覚めました。

最初はまた夢かと取り乱しましたが、時計の日付を見て、次の日付になっていたのを見て、一度深呼吸をしました。

冷静になろうと部屋の電気をつけ、ベッドに腰掛けで一息。


あれは何だったんだ…。


心臓はバクバクと激しく脈打ち、息もまだ荒く、寝汗や冷や汗も尋常ではない状態でした。


この後、少し落ち着いてから、この夢をTwitterに上げ、全く寝につけませんでした。


この悪夢以降、全く悪夢は見なくなりました。

精神的にまいっていたのか、何の仕業かはわかりません。


ただ何が一番怖かったのかといえば、悪夢を見たことでは無く、怖いことを理解できているのに、恐怖の感情をオーバーして狂いそうになることが一番怖かったです。



もう二度と見たくない。それだけです。





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