7-19 本当に欲しかったもの
「おかあ、さん……?」
「さっきも言った、あなたはエンドウさんに育ててもらった。だからワタシをお母さんと呼ぶな」
突然のことに、見下ろす母の視線を、ただただ上目に受け止める他ない。
「……もっと早く来るべきでした。エンドウさんには本当に申し訳ないです。”迷惑だけ”かける娘になってしまい、ワタシは情けない」
苦虫を噛み潰したような顔で、片手で頭を抱えている。
「ゆうかさん、さとしさん、すぐるさん。みんな言葉は優しいけれど、あなたがクズってのは聞いていてよくわかった。本当に体が大きくなっただけでしたね」
体に、力が入らない。
睨み据えられた眼を、離すことさえできない。
「随分甘やかされて、みなさんにワガママばかり言っていたのでしょう? 自分ばかりが損をしてると思って、ひねくれて」
呼吸をするのを忘れていた。
吐き出す時の息が、震えるのを隠せなかった。
「あなたを引き取るなんてワタシには出来ない。イェンファはエンドウさんの娘さんです、助けて欲しいのなら家族に言いなさい」
「……それが出来たら、苦労しないよ」
声を、絞り出す。
「なに?」
「それが、出来ないんだよ……!」
「なぜですか?」
私はみんなにとって所詮、他人だから。
だから相談することが出来ない……?
「出来ないというのに答えられないのですか? わからないのなら、教えてあげます」
私を見下ろしながら、低い声で言う。
「周りの人たちの揚げ足を取って、自分がなにも出来ない――しない言い訳にしてるからですよ」
……きっと、それは間違っていないのだろう。
「イェンファはエンドウさんが本当の家族じゃないことを言い訳に、自分から弱さから逃げ続けている」
周りにいる人は、なにも悪くない。
自分の弱さを直視したくなくて、よそ者なんて言葉を使い、本当の家族でないことを言い訳にしている。
自分の怠慢、自信の無さから逃げる免罪符にするために。
じゃあ、周りの人のせいにする罪悪感は、ないの?
……ない。
なぜ? こんな優しい人たちの揚げ足を取って、楽しいの?
楽しくなんてない。でも許されると思った。思ってしまった。
なんで許されると思ったの?
……それは。
仲が良いから、優しくしてくれるから。だから少しくらいワルモノにしても、許してくれると思ったから……
冗談を言う感覚で、言い訳に使っても、いいと思ったから。
だからみんなを、言い訳にした。
「イェンファが優しい人たちを言い訳に使って、それで明日頑張ろうとか前向きな気持ちになるなら、まだいい。減るわけではない」
鏡でも見せるかのように、私の気持ちを”私”に語ってみせる。
「でも、イェンファのしたことは逆。あなたはそれを使ってどんどん後ろに下がっていった」
それを語れるのは私に近しくて……それでいて私を第三者視点で見れるお母さんだけ。
「そして……もっと駄目なのが、それを叱ってくれる人がいなかったこと。……エンドウさんは、優しい。でもどこかでイェンファに遠慮があった。そしてイェンファはそれに甘えた」
――私がなにかを出来なかったとしても、家族や諭史は決して私を責めなかった。
私は幼心にそれを知っていた。
親の都合で養子に来て、それに同情するお父さんと諭史。
慣れない環境に適応させようと優しくしてくれるアネキ。
そして引っ込み思案の私。
いじめられそうになったら守られたし、出来ないことは代わりにやってくれた。
だから私は心のどこかで思っていたのだろう。
出来なくったって、仕方がないって……
そして中学に入り、二人を介さない友達が出来た。
それは私にとって初めて”一人で出来たこと”
なんだ私、一人でも出来んじゃん。
そしてどう思ったか。
アネキと諭史に自慢したかったんじゃないか?
そうだよ、したよ。
自分で友達が出来たって自慢したじゃないか。
それじゃダメだったのか?
そのまま二人と仲良しじゃダメだったのか?
なんで私はそれが理由で二人から離れて行ったんだ?
二人は良かったね、って言ってくれた。
それだけだったんだ。
それだけ?
別にそれでいいじゃないか、それ以上なにを求めることがあったの?
私がこんなに嬉しいのに、感動してるのに。
どうしてそれを”よかったね”だけで済ませてしまうの?
それが、つまらなかったんだ。
だから、なんとなく思ったんだろう。
私が他人だから興味ないんだな、って。
そしてなぜか思ったんだ。
こんなに感動出来ることを二人がいままで隠していたって。
産みのお母さんのことを教えてくれないように。
所詮、私はよそ者で他人。
そして私が距離を取ったら、二人ともあっさり離れてしまった。
だからそれが尚更許せなかった。
きっと二人は「やっと手のかかる子供が離れて行った」と思っているに違いない。
だから私は二人を嫌いになった。
……いや、そんなふうには思っていない。
だって嫌いになってたら、助けなかった。
あの日、アネキを助けたり、諭史を助けたりしなかった。
なんで助けたか?
決まってるだろ。
好きな人に危害が加えられそうなのを黙ってみてられないから。
決して嫌いになんてなってない。
ましてや”私のもの”である二人にちょっかい出すなんて許せない。
だから助けた。
そして私は期待した。
二人を助けた私を、褒めてくれることを。
けどそれは、他のことで煙に巻かれてしまった。
アネキと諭史が付き合い始めるという”大切な話”で私の功績は霞んだ。
どうでもよかった。
アネキや諭史が誰と付き合おうと。
でもその事実で、自分のことが霞んでいくのが嫌だった。
もっと見て欲しかった。
私のことを。
みんなに。
でも私は見て欲しいと誰に言うこともなく、承認欲求を抱えたままにどんどんひねくれていく。
そうして私は、いまの私になった……
「確かにそれはワタシのせいです。エンドウさんに遠慮を与えたのも、あなたを全面的に受け入れてあげられなかったのも、すべてワタシのせい。それはあなたに謝っても謝り切れない」
お母さんはこちらを向き、僅かに視線を落とし、声を震わせる。
「でもね? あなたはもうワタシの娘であって、娘ではない。それにあなたはもう誰かの娘でもなく、一人の大人ですよ?」
そして近しくも遠い、第三者として冷たいようで柔らかな言葉をかけてくれる。
「だからその責任は誰にもない、それをどうにか出来るのはね、自分でしかいないのよ?」
いままで浴びたことがない、感じたことのない、不思議な温度の言葉を。
「……でも」
自分の口から、か細い声が出る。
「私、出来ない……」
怖い。
「自分で、なにひとつ出来たことがないから……」
独りで歩くのが怖い。
「自分の道を決めても、それが合ってるのかどうかもわからない」
間違うことが怖い。
「だから、自分で決めたくなんてないよ……」
自分で考えたことを、自分で実行するのが怖い。
「誰かに決めてくれないと、自信が持てないんだよ……」
「イェンファ……」
お母さんは膝立ちになり、私の頭を撫でた。
「ゆうかさんや、さとしさんに相談すればいいじゃない」
「出来ないよ、だって私……」
理由も告げず二人を拒否した人たちに”私が間違ってたから、助けて欲しい”なんて言えない。
そのせいで私が勝手にひねくれて、迷惑をかけたのに。数年ぶりに声を掛けてきたと思ったら、助けてなんて言い始めたらどうなるか。
怖い。
二人にどう思われるかが怖い。
冷ややかな目で「今更なにを言ってるんだ?」って思われるのが怖い。
二人に馬鹿にされたくなくて、その場から遠ざかったのに。いまさら助けを求めるなんて出来ない……
「あなたは、ほんとうに、馬鹿ねえ……」
そう言ってお母さんが、私のことを抱きしめた。
「だから、じゃない?」
私の耳元で、優しい声を出す。
「ゆうかさんが、ワタシをイェンファに会わせようとした、理由」
……え?
どういうこと?
……もしかして。
もしかして、もしかして、もしかして……
アネキは、全部気づいていたの?
私のこと。
私自身でさえ、いままで気付けなかった私のこと。
自分の言葉が妹に伝わらないこと。
周りの言葉を聞けない妹になってしまったこと。
言いようのない疎外感を抱えて、勘違いをしていたこと。
私が素直に二人の元へ戻ることが、出来ないこと。
アネキや諭史、縁藤のお父さんやお母さんじゃ出来ないこと。
私の話を聞いてくれて、私のことを想ってくれて、それでいて私のことを考えてくれる人。
それはこの国にいないってこと。
それを五年も前から気付いていた。
お父さんや諭史に反対されていても曲げなかった。
大好きな人たちと衝突し、嫌われるのも覚悟で、体だって壊したのに。
そんなになるまで、なぜ……?
私、ずっと思っていた。
誰もわたしのことを見てくれていない。
ウソじゃん。
そんなの、全然ウソじゃんっ……
アネキ、ずっと私のこと気にしてくれてたんじゃない……
アネキ……? 私はいつからそう呼んでる?
違うだろ、私はずっと”おねえちゃん”って呼んでたじゃないか!
アネキって呼び出したのっていつだ?
私がそうやって”勘違い”をはじめたからだろう!?
急にアネキって初めて呼んだ時『なまいきっ!』って怒られた。
嬉しかった! だっておねえちゃんが反応してくれたから。
だから私は呼び続けた、アネキって。
だからそれが当たり前になって、おねえちゃんは反応しなくなった。
そんなの当たり前だ。
だけど私はその時どう思った?
また、おねえちゃんが私への関心を失った、なんて思ったんだ。
本当に馬鹿だ、どうしようもない馬鹿!
そんなことをしなくても、おねえちゃんはずっと私を見てくれていた。
そして私の助けになろうとしてくれていた。
けど私はそんなことも知らず、自分勝手にひねくれて被害者ぶって……
「う、うわあああ……」
私はお母さんの胸に顔を押し当てて、叫ぶ。
「私っ、なんで? なんで、こんなことにも気づかないで……」
私を見る時、いつも笑顔でいてくれた。
「アネキ、優しかったじゃん、私が満足してなかっただけじゃん!」
あんなに小さい体で。自分に似ても似つかない、かわいげのない妹に。
「それを勝手に勘違いして、アネキを悪者にして……」
いつだって優しくして、かわいがってくれてたじゃないかよ!
「嫌だ、こんなの嫌だ……どうして、どうしてこんなことに……」
「……イェンファ」
私の頭を細くて長い指が撫でる。
「あなたはね、一人じゃない。みんなあなたのことを大切にしてる」
「でも、どうしよう……私、もうアネキに顔向けできないよ……」
「そんなことない、あなたはかわいい妹だもの」
「でも、でも……私がみじめすぎて、もう……」
私はもう一人の存在も思い出す。
あいつだって、そうだったじゃないか。
私が二人を助けた、褒められたい、なんて馬鹿なことを考えてる時に私を守ってくれていた。
巌さんからの暴力が降りかからないようにするために、罪を被るなんて馬鹿なことをした。
それなのに私は自分のしたことにだけ酔って、満足して。
その二人だけじゃない。
ニッカだって私を拾って雇ってくれたし、華暖だって私の背中を押そうとしてくれた。
エーコだってそうだ。
二人に変わって私を怒ってくれたし、道を示そうとしてさえくれた。
私は決して見られてないわけじゃない。
私が相手の目を見ていなかったから、私が見られているのに気付かなかっただけ……
みんな手を差し伸べてくれる、最高のお節介ばかりだった。
「イェンファ、だったら感謝すればいいじゃない。いままで気付かなかったかもしれないけど、いまは気付いてる」
「でも、それでも、もらったものが多すぎて私には……」
「大きな体して、泣き虫ね?」
「そ、そんなこと、言ったって……」
私は涙が止められない、止めることができない。
「ふふ、大きな子供」
お母さんは頭を撫で続けながら、掠れるような声でつぶやいた。
「ホントはね……あなたは私の子供に戻っても、いいの」
「……え?」
「ゆうかさん、イェンファに会える許可だけじゃなくて、あなたの養子縁組を解消する許可だって、もらってるの」
私は、絶句する。
もうこれ以上ないくらいかき乱された感情を、一瞬の内に凍らせる言葉。
「ワタシは断った、けれどゆうかさんはその可能性を決して捨てなかった」
『もし李さんにとって、それが一番いいと思ったら、ぜひそうしてください』
「ほ、本当に、アネキがそんなことを?」
「ええ、ワタシも言葉に出来なかった。だってそれを口にするゆうかさんは、とても辛そうでしたから……」
アネキはどういう気持ちでその言葉を口にしたのだろうか。
……疑うまでもない。
世界で一番情けない私にとって、それが一番である可能性まで考えてたからだろ……?
もうみんなと目を合わせて会話ができる、縁藤レイカだからわかってしまう。
これが以前の私だったら違っただろう。
私を追い出そうとした、よそ者扱いだ! などと筋違いのことで怒って、喚いていたはずだ。
でも、それに気付けてしまった。
いま、お母さんはアネキの様子を”とても辛そう”と言った。
だけどいまの私にはその光景が見えてしまう。
ありありと、実感を伴って、アネキの声までしっかり耳に届いた上で、理解できる。
それをお母さんに告げるアネキは、その言葉を口にするとき涙さえ流している。
わたしが、おねえちゃんが不甲斐なかったから……なんて言いながら、自分の足りなかったところだけを上げ、決して私を責めようとはせず、お母さんに慰められているんだ。
お母さんだって本当はその提案を喜んだはずだ。
だけど目の前で、十年以上生活を共にした姉から、涙を見せて提案されたものを、受けられるはずもなかったんだ。
二人とも、私が間違って育ったなんて口にしない。
本当のお母さんと暮らすことが出来るようになったら、レイカのためになるかもしれない、なんて口にしながら。
私は、自惚れでなく、確信できる。
アネキは、出会ってから一秒たりとも、私を愛してくれなかったことはない……私がそれを見てこなかっただけで。
だから、違ったんだ。
私が必要なのは、仕事でも、友達でも、恋人でもなかったんだ。
一番近くにいる、姉の愛情に、それに気付くことが出来ればそれでよかったんだ。
あとは、なにもいらなかった。
そして、それさえ気付けていれば、他の物だってもっと簡単に手に入ったかもしれない。
なぜか、それはとても当たり前のように、自然と受け入れることが出来た。
「ねえ、イェンファ。もう一度聞きます」
優しくお母さんが問いかけてくる。
「あなたは、本当にワタシの子供に戻りたいですか?」
同時に私の頭の中では別の声が聞こえてくる。
『あなたは……』
「あなたの言うように、一緒に暮らしますか? イチから全部、やり直しますか?」
『今日から……』
「ごめん、お母さん。本当に、本当にごめん……」
いまになって耳から、幼い頃のアネキの声が、離れないんだ。
『レイカ! えんどう、レイカ! わたしの妹になるの!』
「お母さん、ごめんなさい。私、縁藤レイカなの……」
あなたの子供ではないと突き放す、冷たくも優しい響きを持った、私の名前。
「私、もうお母さんの子供に戻れないんだ、本当にごめん……」
「なに言ってるの、バカね。それでいいの、お姉さんを大事にしなさい」
お母さんも私につられてすすり泣き始める。
私、アネキの妹でいたい。
どうしようもなく、親不孝者で、姉不孝者だけど。
せめて私はもらったものを返したい。
少しずつ、少しずつしか出来ないけれども。
昔みたいに素直になれたりは、しないかもしれないけれど。
それでも私は誰よりも、アネキに感謝を伝えていきたい。
……そして、もうひとり。
諭史。
私のことを救おうとするために……アネキと別れようとした。
別れて、忘れて、私が自分のワガママに気付かないことにして、私と一緒にいようとしてくれた。
それを恋という形に変換して、違和感の無いように取り繕ってくれた。
信じられる?
五年も付き合っていた人と別れて。
こんな自分のことも大切にできないような人間なんかを優先しようとした。
……だから愚かな私は、いまこの瞬間に膨れ上がってしまう。
諭史への感謝と、嬉しさと、それ以外の……なにか。
悲しさと、悔しさと、恥ずかしさで、私の心は滅茶苦茶なのに。
それをさらに搔き乱そうとする、温かい感情。
けれどいまさら、そんなのどうしようもないんだ。
もう全然遅いし、持て余してしまうだけ。
私が諭史に抱えていいはずもない感情。
これにもっと早く気付いていればなにか変わったのだろうか?
……ううん、変えることはないだろう。
だって私がこの気持ちに気付いたのは、私がどうしようもなく愚かな”いま”があったから。
私がこんなにも馬鹿じゃなかったら、そもそも諭史がそんなことをすることもなかった。
ちょうど天の川が出ていた時に見た、夢物語。
流れ星に願って叶ったものでもなければ、短冊に書いたこともない。
いつか見た夢のような、自分に都合のいい妄想。
そして現実にその位置に立つのはアネキなんだ。
だから私には……責任がある。
私には、まだやりたいこと、将来なんてものはよくわからない。
でもこれだけはわかる。
私は返さなければいけない。
これまでいっぱい迷惑をかけてきて、謝らなければいけないことが山ほどある。
私はスタート地点に立っていない、マイナスなんだ。
マイナスからのスタート。
私はせめてマイナスをゼロに、スタート地点に立たなければ走り出せない。
それには誰かの助けだって借りなければいけないかもしれない。
いままでの私は支えられているだけだった。
……けれどその支えてくれた人たちが困っているときにも、支えてもらうことを望むのか?
無理だ、そんなことはもう許されない。
じゃあその二人の困っていることって、なんだ?
『仲直りをしてもわたしとサトシは元通りになることは出来ないんだ』
そう言ったアネキの言葉が蘇る。
アネキにとって諭史は、心の支えで、生きる意味そのものだ。
それを私がズタズタにした。
私は自分の無知を呪った。
だからマイナスを正すには、二人の仲を元に戻さなければいけない。
私が人のためになにかを、出来るのだろうか……?
そんなことして、なにか意味があるの?
そんなことしなくても、私が手を貸さなくても、私にはなんの影響もないんじゃないか……?
生きる意味とか、恩とか、ケジメとか、見返りとか、色々な考えが頭をよぎる。
……じゃあ、私がこれまでされてたことって、みんな見返りとか求めてたのか?
求めてないだろう。
求めてたとしても、本当になんにも返せないひどい奴だったじゃないか。
それをみんな分かっているのに。
それでもみんな私に手を貸してくれた。
けど私は、見返りがないからそれを躊躇するのか?
そんな、バカな。
でも、気づくことが出来た。
少なくとも自分がどうしようもない人間であることに、気付くことが出来た。
だったら迷ってる場合じゃないだろ?
二人に自分が与えられるものは少ない。
けれど二人に対して、責任がある。
それを正さなければいけない。
私はいま初めて自分のしなければならないことを手に入れた。
決して立派なものでもないし、こうなったこと自体が恥でしかない。
でも、それでも、私は嬉しかった。
二人のためになにかをする、したいという気持ちが自分の中に生まれたことが。
そんな気持ちが、自分自身に生まれたことが、とても幸せだということに、初めて気づくことが出来た。
覚悟してろよ、二人とも。
いままで溜まりに溜まったものを、必ず返してやるんだから……!
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