7-9 傷の舐めあいは、とても楽しい


『ふ~ん、それじゃ、いまウチにはおねえちゃんと、先輩だけがいるんだ?』


「そう、まだ体調は万全じゃないけれど、話くらいはできるわよ。絵里が帰ってくるまで泊まってるかは分からないけれど」


『べつに……それ、わたしには関係ないし』


「そんなことないわよ、とてもいい先輩だからきっと絵里とも仲良くなれる」


『なんで、わたしがその先輩と仲良くしなきゃいけないのっ』


「なんで、って……そりゃいい先輩だからよ?」


『……なんか、つまんない。とりあえずもう寝るから電話切るね?』


「あ、ちょっと待って、絵里……」



 と、あとに残るのはスマホに表示される通話終了の文字。

 なによ。もう少し話させてくれたっていいじゃない、絵里のいけず。


 手首を返して時間を確認すると、いまは二十三時半ちょうど。合宿中の絵里と電話するために、ひとりでリビングのソファに腰かけている。お母さんはお盆が終わるまで帰ってこないし、お父さんは長期の現場だからヘタすると月内には戻らないかもしれない。


 だからこそ、いま家の中は私が好き放題できる状態!

 と、言っても特にいまだからやりたいこと、ってのもないけど。


 けれど短期間の一人暮らし、ってわけでもない。



「おかえり~」


 二階の自室に戻った私に声をかけてくれる、いまだけの同居人。


「優佳さん、熱の方はどうですか?」


「元気いっぱい! ……とは言えないけど、普通にしてるくらいなら」


 困ったように微笑む優佳さん。


 優佳さんは今日に入ってから、また少し体調を崩していた。連日の猛暑から一転、少しばかり冷え込んだのが原因だろう。


「ほらダメですよ、しっかり布団かけなきゃ」


「は~い、おかあさん」


「……あなたみたいな子を育てた覚えはありません」


 じゃれついてくる優佳さんを軽くあしらい、私は優佳さんの寝るベッドに腰かける。


 そして優佳さんは仰向けになりながら、長編少女マンガのページをめくっていた。


「それ、面白いですか?」


「うん、とっても! 昨日まで読んでたのも面白かったけど、こっちのほうが好きかも~」


「優佳さんがそんなにハマるとは思いませんでした」


「わたしも。こんなに面白いマンガはじめてかも~」


 こっちを見てニコッと笑う。そんな無邪気に釣られて私も笑ってしまう、エンジェルスマイルめ。


 優佳さんが家に来てから、かれこれ三日が経過した。一昨日、私が出かけて帰ってから、ずっと家で二人でぐうたらしていた。


 予備校? そんなものはサボった、ちょっと行く気持ちになれなかったし。


 私はベッドの上に放り出されたテレビのリモコンを繰って再生ボタンを押す。動物の楽園を称した映画が動き出し、ウサギのキャラクターが流暢な日本語をしゃべりだす。最近は全然映画なんて見ていなかったし、気分転換。


 そうして目はテレビ画面を追い続けるけど、全然集中できなかった。代わりに「なにしてんだろう」という心の声が、耳にしつこく響いている。



 一昨日、帰ってきた時に優佳さんにいっぱい愚痴ってしまった。内容はもちろん傑さんとのこと。


 その時に初めて相手が傑さんだということも口にした。

 気づいていたのか、驚きを隠したのかはわからないけれど、優佳さんはそれを自然に聞いて、励ましてくれた。


 ……優佳さんを助ける、なんて口にしたけど、まだまだ私の方が子供だった。


 けれどそうやって支えてくれた優佳さんだからこそ、優佳さんのツラい時に私が支えて上げられれば、それはそれで理想的な関係なんじゃないかなって思った。


 もしかすると恋愛の悩みを抱えた者同士で、それを応援し合う関係に酔っているだけかもしれない。


 けどそれもいいじゃない。

 そうすることでお互いが前を向いていけるのであれば。


 でも、そんなキレイな関係に憧れたってそうなれるわけじゃない。


 だっていまここにいるのは家に帰らず少女マンガを読みふける優佳さんと、予備校をサボってディ〇ニー映画を消化する私。


 それはおおよそ、お互いの恋愛を応援して前を向く関係とは程遠すぎる。

 どちらかというと一人で現実逃避するのが怖い、じゃぁ二人でやれば怖くないよね! という信号無視の正当化にも近い行為。



「サトシの、バァーカ!」


 マンガに目を向けたまま優佳さんが急に大声を張り上げた。


 それに応えて私も大きく息を吸い込む。


「二階堂傑のオタクっ! 仕事オタクっ!! 仕事と、結婚しろっ!」


「サトシのネクラっ! 浮気者! 優柔不断っ!!」


「チャラ男! ファッションホモ! 鬼〇眼鏡!」


「え? 二階堂君ってホモなの?」


「いや、違うとは思います。あとファッションホモっていうのは……って、急に素に戻らないでください」


 この罵倒合戦は一昨日、私が帰ってから急に始まったイベントだった。


 優佳さんもきっとそうなのだろう。

 ジッ、としていると考えが巡り巡ってイライラしてくる。そしてお互い我慢できなくなったら、その場でストレス発散のため大声を上げる。


 それがここ数日で何回か突発的に起きていた。優佳さんがいきなり纏場を罵倒し始めた時は動揺したけど、いまではどちらかが罵倒を始めると共鳴し始めるという奇妙なイベントが発生するようになっていた。


 深夜に大声を上げる女二人。

 これがマンションだったり、家族がいたら怒られるどころじゃ済まないだろう。


 生憎、工務店として敷地が広いので近所迷惑にはならないハズ、だ。

 もし迷惑だったら文句を言われた時に考えよう。いまの家主は私なんだ。


 優佳さんは読んでいるマンガをパタンと閉じ、スマホの画面を開く。


「……纏場から連絡ありました?」


「な~んにも! ヒドいよね!? 連絡来ても返事なんてしてあげないけど、放っておくなんてありえないよね~!?」


「いや、連絡来たら返事はしてあげましょうよ」


 そういうと優佳さんは頬をぷくっと膨らます。


「じゃ、エーコちゃんは二階堂君から連絡来た?」


「なんにも来ないです電話するって言って結局放置されてますしもう転勤しちゃったんじゃないですかね私のことなんてきっと忘れましたよあの仕事オタク!」


 私は何度となく開いたLINEを開き、二日前から変化のない画面を優佳さんに見せつける。


「はは……」と優佳さんは乾いた笑いを浮かべた。


 ……どっちもどっちだった。

 なんとかしなければいけない、とは思いつつ、お互いになんともし難い状態と言えばいいのだろうか。


「でも、なんか少し不思議な気持ち」


 けど、優佳さんは楽しげにそんなことを言う。


「だっていまのエーコちゃんとわたし、なんかそっくりなことになっちゃったね」


「全然そっくりじゃないですよ。だって優佳さんは五年付き合って……」


「ちがう、ちがう、そうじゃなくって。お互いに好きな人のことで悩んじゃったりしてさ」


「……そうかもしれませんね」


 優佳さんがそれを楽しそうに言うから、私も少し口元に笑みが浮かんでしまう。


「本当はさ? きっと一人だったら、もっとイヤな気持ちになっちゃうと思う。けどエーコちゃんも同じ気持ちだから、なんか少し楽に感じちゃうな」


「それ、なんか分かるかもしれません。きっとあの時、家に優佳さんがいてくれなかったら、こうしておしゃべりも出来てなかったかも?」


「ふふ、でしょ? だからそっくり。フラれ仲間だっ」


「……なんか全然うれしくない仲間ですね」


「も~どうしてそういうこと言うの? いいじゃない? 一緒に不幸になってこ~よ?」


「あ、もしかしたら優佳さんと一緒にいたから、不幸が移っちゃったのかもしれませんね?」


「ちょっとそれはヒドくない!? わたしを妖怪みたいに言わないでよ~!」


「そしたら早く追い出さなきゃいけませんね。いまからレイカさんに連絡取りますね?」


「ちょ、ちょっと、そうしないって約束でしょ!? ストップ、スト~ップ!」


 電話を掛けるようなポーズを取ると、それを阻止せんと被さってくる優佳さん。


「そんなイジワルいう子は、こうだ~!」


「あは、優佳さん、くすぐったい……あはは!」


 優佳さんの指が脇腹めがけて襲い掛かってくる。


「このこの~! ここがええのかぁ~?」


「あはは、くすぐったい! お腹痛い! やめて、やめてくださいよぉ!」


 そう言ってひとしきり私のことをくすぐり、満足した優佳さんとベッドの上で二人寝転がりながら笑っていた。


「あはは……私たち深夜になにやってんですかね」


「エーコちゃんがイジワルいうから悪いんだよっ」


「すみません、でも優佳さんがフラれ仲間なんて言い出すからですよ?」


「い~じゃない、別に。楽しければなんでもいいのよ」


「元生徒会長らしからぬ発言ですね?」


「元生徒会長に言われたくありません~!」


 そう言って優佳さんが頭をぺしりと叩く。なんだろ、なんかいま最高に楽しい。


「エーコちゃんも大人になったなぁ」


 優佳さんが上体を起こしながら言う。


「なんですか、やぶからぼうに」


「だって、あの頃じゃ想像もつかないよ。昔は『サトシを傷つけた~』って泣きながら、わたしに抱き着いてきたもんね? かわいかったなぁ」


「ちょっと優佳さん!? その話をいま掘り返さないでくださいっ!!」


「あはは! エーコちゃん、顔真っ赤~」


 私は両手で頬を抑えながら、先輩を恨めしい気持ちで見つめる。


「……でも、優佳さんがそんな私に優しくしてくれたから、いまがあるんですよ」


「ふふ、そう言ってくれると、うれしいな」


「もう優佳さんとも五年の付き合いですからね」


「そうね、長いよね~」


 優佳さんがそう言ってベッドの上に足を投げ出す。そんな優佳さんの子供っぽい仕草が微笑ましい。


 昔はただ純粋に尊敬の対象だったけれど、いまは身近にいるなんでも話せる友達って感覚。

 もちろん先輩として尊敬はしているけれど、抜けてるところもあるし、それがかわいらしいし、先輩風も吹かせない素敵な人。


 そんな優佳さんに、こうして心を許してもらえることがとても嬉しい。


「優佳さんの結婚式、楽しみにしてますから」


「ちょ、ちょっと!? いきなりなにを言い出すの~?」


「はは、優佳さんこそ顔真っ赤です」


「も~あんまり先輩をからかわないのっ!」


「でも、纏場と結婚してくれますよね?」


「……がんばる」


 そういって優佳さんは照れながらも、拳をグーにして気合を入れるポーズを取って見せた。


「エーコちゃんも、ちゃあんと二階堂君のこと紹介してね?」


「はい、善処します」


「なに善処って、自信持たなきゃだよっ。エーコちゃんかわいいんだから!」


「もうそれはいいですって……って頭撫でないでください!」


 そう言って私たちは楽しい楽しい傷の舐めあいを続けていた。


 一人だったらこんな気持ちにはなれなかったかもしれない。


 ……もちろんいまだって、ハッキリ言ってくれなかった傑さんに怒ってる。


 彼は私のこと好きなのかどうかすら答えてくれていない。


 転勤なんてそんなもの、関係ない。

 私は傑さんの気持ちが知りたいだけ、そしてあれから連絡だってくれやしない。


 でもそんな色々なことも、優佳さんといると許してもいいかなって気持ちになってくる。もちろんすぐになんて許してあげない。いっぱいワガママを言って困らせてからだ。


 だから傑さん、早くしてください。私はなんだかんだ文句を言いながら、きっとあなたを許してしまうのだから。



---



 枕元で振動するスマホの音で目が覚める。


 スヌーズ機能が付いているので、気にせずアラームを止める。これでまた九分後に振動する、それではおやすみなさい。


 ……と思ったが、そもそもアラームなんて付けたっけ、私。

 無論、今日も予備校をサボるつもりだったので、そんなはずはない。


 スマホの画面を見ると、そこには表示されてるのは着信画面だった。


 その名前を見て、流石に出ないとまずいかな、と思い、仕方なく体を伸ばしてから着信を受け付ける。


「はい、もしもし」


 起きたばかりで不機嫌そうな声が出てしまったけど、事実そうなのだから隠さなくて構わない。


「あ、ごめん、朝早くに……」


 久しぶりに聞く、少し低めの女性の声。


「どうしました?」


 ごめん、という言葉にお愛想は返さない。時計を眺めると時間は五時半、謝られてしかるべき時間だ。


「アネキ、いるんだよね?」


 一瞬どう返そうか迷ったけれど、私から彼女に優佳さんがいると伝えはしたのだから、今更ウソをついても詮無いことだ。


「けどまだ寝てますので」


「……」


 声の主、レイカさんは黙っていた。

 起きたばかりということもあって、少しイライラしてしまう。


「いま映子の家の前にいるんだけど」


 ウソ? 私はカーテンをずらして外の様子を窺うと、本当にいた。


 栗色の髪をしたスラッとした長身の女性。間違いなくレイカさんだった、なんだってこの時間に?


 私は一つ溜息をついて「いま、降りていきますので、ちょっと待っててください」と告げ、電話を切った。


 パジャマの上にパーカーを羽織る。今日もまた昨日に続いて少しばかり気温が低い。

 優佳さんは私のベッドで幸せそうに眠っていた、レイカさんとはまだ会わせたくない。


 階段を降り、引き戸の玄関を開ける。


 レイカさんは白無地のシャツにジーンズ、上にはミリタリー風のジャケット姿だった。


 日が昇り切っていない藍色の光を浴びるレイカさんは、それはまた絵になるくらい綺麗で、女性としての格の違いみたいなものを感じさせられた。


 私の方を見ると一瞬だけ笑顔になったが、それもすぐ朝靄に溶けて消えた。

 ……だって私は、相手を歓迎するのとは程遠い表情をしているのだから。


「今日は、どうしましたか」


 必要以上に低い声が私の喉から零れる。


「アネキは、その……」


「優佳さんは寝てます」


「それは、聞いた」


「はい、言いました。それで、なんの用でしょう?」


 私の態度に狼狽しているようだ。

 それはそうかもしれない、だって前回は笑いながら別れたのだから。


 だからここまでぞんざいにされる理由が思い当たらないのだろう。少しばかり肩の力を入り過ぎてるのかもしれない、今更ながらそう思った。


「優佳さんは、まだ家に帰りたくないようです」


「……そっか」


 レイカさんは視線を斜めに落とし、足元の砂利を鳴らす。


「でも、いつまでもエーコに迷惑かけるわけにもいかない」


「迷惑なんかじゃないですよ、私もいま少し気が滅入ってるんです。だから優佳さんに側にいてもらって助かってます」


 少しずつ東の空が明るくなってきた。

 けれど雲の層が厚く、屈折した朝日は紫に変色し、夕方でも見れないような不気味な色をしていた。


「でも、アネキはいま体調を崩してるんだ。病院にも行かなければいけない、だから……」


 私はその言葉で頭の芯が熱くなった。


「じゃあ私が連れて行きます、保険証を持って来てもらえますか?」


「……なんだよ、それ」


 下手に出ていたレイカさんに、不快の色が混じる。


「パシリにされるのは、イヤですか?」


「そんなこと言ってないだろ? なんでエーコ、そんなケンカ腰なんだよ?」


「別に」


 言いながらトボけようとする自分にも苛立った。優佳さんを守る気なら、もっと突っぱねてもいいはずのに。


「とりあえずアネキが起きるまで待たせてよ、エーコも一緒で構わないから。アネキは一度病院に行かなきゃいけないんだ」


 おそらくだけどレイカさんは、冷静であろうとし続けている。


 彼女の本来の強気な性格を押し殺して、私の家から優佳さんを連れ出し、病院に連れて行きたいと本気で思っている。


 けれどその言葉を聞くたびに、私はふつふつと怒りがこみ上げてくる。


「……なんで」


「え?」


「じゃあ、なんで優佳さんに手を上げたんですか?」


「それは……」


「優佳さんの身をそんなに案じるのなら、なんで自分の姉に手を上げるんですかっ!?」


 私は感情のままに声を荒げていた。

 その言葉を一身に受けてレイカさんはバツが悪そうに目を逸らした。


「おかしいですよね? いまさら罪悪感でも込み上げてきたんですか?」


「そうじゃ、ない……」


「じゃあなんでですか? 外科にでも行って、殴ったところの怪我でも見てもらうんですか?」


「違う! その時は体調悪いことなんて知らなかったんだ!」


「知らなかったら殴ってもいいって言うんですか? それこそおかしいでしょう?」


「そんなこと言ってないだろ!? 少しは話を聞けよ!」


「聞くことなんてありません。体調が良くなって優佳さんが帰りたいって言ったら、ちゃんとお帰しします」


 私は拒絶の言葉を叩きつける。

 もうダメだ、彼女と話すことなんてない。


 レイカさんは顔を伏せていた。言い返すことができないのだろう。


 ケンカ両成敗とはいえ、体調の優佳さんに暴力を振るった。それだけで彼女に優佳さんを介抱する資格はない。


 レイカさんは体を震わせながら、顔を伏せていた。

 それは怒りに震えているのか、それとも悔しさか。


 けれどややあってレイカさんは絞り出すようにして、ある言葉を呟いた。


「なにも知らない、外野のくせに」


 ……外野?


 私が? あれだけ優佳さんと苦楽を共にしてきたのに?


 暇を見つけてはお喋りをして、相談に乗ってくれて、くだらないことで笑いあったり、落ち込んだ時は励まし合ったり。


 そんな濃い時間を過ごしてきた私が、優佳さんのことをなにも知らない?


 おそらく彼女の言葉に特に意味はなかったのだろう。


 負け惜しみ、捨て台詞、悪態。そんな口を衝いて出た、意味を持たない言葉。


 けれどその言葉を聞き逃すことが出来なかった。そして、私は……


「――なにも知らないのはあなたですよ」


 心を虫に支配され、余計なことを口にしようとしていた。

 だってそれは秘密にしなければいけない、口止めされていたことだったから。


「あなたは自分一人で生きているつもりなのかもしれませんが、それは決してあなたが作り出したものじゃないんですよ?」


 私はなにも知らないはずがない、レイカさんさえ知らない秘密だって教えてもらっているんだ。


「教えてあげますよ」


 なにも知らないのは、あなた。

 周りにあれだけ支えながら、なぜそんなに自分本位に生きていられるの?


「……なんの話?」


 彼女は怪訝な顔を向ける。


「あなたがいかに、周りに生かされてきたかって話です」


 怒りに身を任せるとロクな結果にならない。そんなことは分かっている。

 けれどいまの私にはそんな余裕はなかった、それに得てして知らないことは罪なんだ。


 ……そして私は嫉妬していたのかもしれない。そこまで大事にされてきた彼女に。


 だから私はそんな彼女に、周りがひた隠しにしていた真実をプレゼントする。自分の足でそこに立っていると、信じて疑わない縁藤レイカに。


「あなたはこの五年間、なにをして来たんですか?」

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