会社をリストラされたOL、真瑠璃は、町で王子オーラ全開のイケメンに声をかけられる。「もしかして、あなたには見えてるんじゃないですか?」と。
彼の言っている『見える』とは、霊が見えると言う事。その霊が見える特性を買われた真瑠璃は、彼の勤めるカフェ、『鎮魂館』で働くことになるのだった。
えっ、霊が見える事とカフェに、どんな関係があるのかって?実はカフェで働くのは表向きの仕事。裏では陰陽師として人に仇なす存在と戦う、それがカフェ鎮魂館のもう一つの仕事だったのです。
この話の面白い所は、声をかけ得てくれたイケメン、在人の他にもう一人イケメン陰陽師が出てくると言う事。それは在人の兄弟である欧理。
在人が優しい王子様なら、欧理はぶっきらぼうなツンデレと言ったところでしょうか。真瑠璃は欧理とバディを組むことになるのですが、衝突してケンカになる事もしばしば。そんな時は在人が間に入って二人を宥めると言う……何だか少女漫画のような美味しいシチュエーションですね。
話のメインは悪霊との戦いですけど、真瑠璃達の人間関係が大きな見所。
優しい在人と、ツンデレな欧理。二人のイケメン陰陽師に挟まれながら戦い、生長していく真瑠璃。
バトルものとしても恋愛ものとしても、最高に面白いです!
理不尽な理由で勤めていた会社をクビになった真瑠璃。ですが出会いや救いの手は思わぬところに転がっているもの。次に巡り会った仕事(?)は、二人の陰陽師の手助でした。
理由あって霊が見えなくなってしまった陰陽師、在人と欧理。二人は表の顔として、カフェ鎮魂館も営業しているので、真瑠璃はそこでも働くことになります。この在人と欧理がそれぞれタイプの違うイケメンで、そんな二人と同じカフェで働くと言うだけでもドキドキです。
ですがもう一つの陰陽師の仕事の方は、危険もつきものです。自らの命はもちろん、そばにいる人、見知らぬ大勢の人、時にそれらの命に係わる事態にも陥るのです。
少し前までただのOLだった真瑠璃には荷が重い事。ですが彼女は一人ではなく、在人や欧理がともにいます。三人が危機に陥りそれを乗り越えていく姿を、是非ご覧下さい。
超絶イケメンの二人が経営する喫茶店【鎮魂館〈レクイエム〉】。フロントの在人が王子スマイルを振りまき多くの女性客の心を魅了すれば、厨房の欧理が絶品の料理を提供して女性客の胃袋を鷲掴みにする人気店。豆の産地から挽き方にまで拘った珈琲や、懐かしさが込み上げるナポリタンも名物メニューだが、やはりここのナンバーワンは特製のレモンクリームタルトだろう。レモンを含め小麦粉や乳製品などの材料から作り方も含め全てが門外不出の企業秘密。いざ真似てみようと口にしてから試みても、同じ仕上がりにはならないのが最大の特徴だ。おそらくは、素材や味付けの工夫だけでは説明できない、何らかの「あやかし」がブレンドされているのだろう。幼児から老人に至るまで、あらゆる客層から支持されている【鎮魂館〈レクイエム〉】のレモンクリームタルトは、訪れる機会があったら是非とも忘れずに注文して欲しい。
そして、もう一つ【鎮魂館〈レクイエム〉】で語っておかなければならないのが、このイケメン二人が陰陽師という裏の顔を持っているということ。それぞれの得意とする占術や祈祷を駆使し、除霊などの依頼を受けては【鎮魂館〈レクイエム〉】営業の合間に静かな行動を起こす。しかし、二人には陰陽師として働くに致命的なハンデを背負っていた。そのハンデを補うべく選ばれたのが今作ヒロインの真瑠璃ちゃんである。
偶然と突然が混ざった状態で陰陽道への扉を開いた真瑠璃ちゃん。その使命と二人のハンデを補うべく立ち上がった気の強さと、イケメン二人に挟まれて悶絶する可愛らしさ。そして、日を追うごとに芽生えてくる恋心。年頃の乙女が抱える悩みや葛藤に、共感と同情を覚える読者も多いはずだ。陰陽道や占術などの知識も、小難しい専門用語を並べて読者をマウンティングするような綴り方になっていないところもポイントが高い。「わかりやすい。読みやすい」のである。
どこの店でも構わないので、レモンクリームタルトを買ってきて食べながら読み進めてみることをオススメしたい。きっと読了の頃には、本当のレモンクリームタルトを欲する「あなた」がいるはずだ。
とある事情で仕事を失ってしまった主人公真瑠璃。
彼女を待っていたのは、ふたりの王子様との出会いと《鎮魂館》というカフェでした。
ふたりの王子様の正体は現代の陰陽師なのですが……
この物語は多彩な魅力に溢れていて、読み進めていくうちに作者様の筆力に引き込まれてしまいます。
個性豊かな登場人物達。
緊迫のバトル。
物語の中散りばめられたユーモアや、心を締め付けられるドラマ性。
また、物語を読み進めていく中どうなってしまうのかと、思わずにはいられないのは真瑠璃さんの鈍感力でしょうか。
ふたりの王子様を前に、鉄壁とも言える彼女の鈍感力は美味しい展開を呼んでいるのかそれとも⁉︎
この答えは是非ともお読み頂き、見届けてみてください。