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第4話 堅き人は弱き人
泣くな
この手で守りたいなら
この足で立ち上がりたいなら
涙は邪魔にしかならない
ぬぐう手の動きも無駄なもの
笑うな
この手で護りたいなら
この足で歩いていきたいなら
諂いは弱みにしかならない
微笑む唇の動きも無益なもの
立ち止まるな
そうでなくては守りきれない
そうでなくては護りきれない
それしか知らないのだ
教わってきたものも
教わらずにきたものも
守りきりたいなら
護りきりたいなら
それを衛るためには
心を塞がなくては
それを護るためには
◇ ◆ ◇
私の愛しい子ども。
彼の心を救えるのは、ひとりだけでした。
けれど、彼は、その救いに満足しなかった。
あなたを救えなくて、ごめんなさい。
あなたの幸せは、あなたを拒んでしまったけれど。
だけど、あなたが望んだのよ。
あなたの救いが、べつの場所に生きることを。
それを受け入れがたかったのだとしても。
どうか安らかに眠って。
もう目覚めないで。
ときが総てを押し流してしまうまで。
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