私自身が鉱物系が好きで、こちらを見つけた時、まずタイトルに惹かれました。読んでよかったなと思っています。続きも楽しみ。
文章自体は、少しまだ書き方に慣れてないのかな?という印象を受けました。ですから文章としての完成度に拘りがちな方にはもしかしたら物足りないかも知れませんが、それを補ってあまりある物語の繊細さと描写力、発想力が魅力の一作だと思います。物語は技術じゃない、書く人の心なのです。
恐らく作者様はこの物語の景色が実際に見えていて、それを詳細に綴られているんだろうなと思いました。だから景色がこちらにも伝わってきて、博士とビフォスが過ごす室内のインテリア、季節の移り変わりに伴う光、色調の変化まで感じられるようです。鉱石のもつ儚い綺麗な輝きとビフォスの硬度の小ささからくる繊細さのふたつのモチーフが、物語そのものの繊細さをより装飾してて綺麗。
きっとこの物語が一つの軟らか(軟らか、と言っても鉱石の中で壊れやすい、という意味ですが)な鉱石で、作者様はそれを扱い原石を加工し、美しい宝石に生まれ変わらせる職人さんなのでしょう。
一話目が視点がわかりづらいところがあるので、そこを修正できれば読者が増えるように思います。きっとこういう話を好きな方はいっぱいいるので。とても応援したい作品です。文章の点で星二つにしましたが、発想、創造性としては星三つにしたいです。