このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(748文字)
紡ぎ出される言葉の数々が優美な世界観を表現されています。短編独特の急転直下な結末に思わず声が出ました。二話拝読しましたがどちらも予想のつかない結末でした。二話目の主人公が女性であることに途中まで気づかなくてちょっと肩透かしを食らってしまいました。フランス名なんでしょうが馴染みがないもので。サックっと優雅な短編を味わうことができます。
舞台は架空の王国ガレイア、そこに暮らす人々の短編集です。最初はファンタジー小説と思って読み始めましたが、独特の言葉、紡ぎだす文章の雰囲気が、なんとも文学的です。著者の方はフランス文学を専攻なさっているということで、この独特の物語が生まれたのだな、と納得しました。雰囲気に浸って文章を追い、ガラス越しに物語を眺め、登場人物の心の中に人の深淵を覗き見る。そんな作品だと思いました。