万引きの子豚

いましん

三匹の万引き

「ゲームをしよう。」

そう言い出したのは、1番上のお兄ちゃんでした。

「どんな?」

と乗ってきたのは、次男。

「どうせくだらないんでしょ。」

と冷静に言うのは三男です。

「家の近くに、狼村ローソンがあるだろ。そこから、商品を盗んでくるんだよ。」

「でも、それって犯罪じゃないの?」

「いいんだよ、ゲームなんだから。」

長男と次男は、割とやる気まんまんで話しています。

「この話は、実在する人物・企業・団体とは一切関係がありません。」

三男はに向けて注意しています。



「よし、まずは俺からなー!」

言い出しっぺの長男がまず行くようです。

「気、気をつけてね……」

次男が心配するのも無理はありません。万引きどうこう以前に、狼村ローソンの店員は、近所でも怖いと評判でした。子供の3匹達にとっては尚更のことです。

「見つからなきゃいいんだって!」

そう言い残し、長男はコンビニへと向かって行きました。


数分後。長男が帰ってくると、手には1本のワラがありました。

「お兄ちゃん、それは?」

次男が訊くと、

「どうだ。このワラ。俺が盗ってきたんだぞ。」

とのこと。

「えぇ!本当に盗ってきたの!?凄いや、兄ちゃん!」

次男はテンション爆アゲです。

「よい子は真似しないでね!」

三男はに向けて注意しています。



「よし、次は僕が!」

そう言って、次男が向かった数分後、今度は木の破片を持って帰ってきました。

「どうだ、兄ちゃん。凄いだろ!」

「おお!すごいな!!」

2人がはしゃいでいると、三男がすくっと立ち上がって言いました。

「何を2人とも喜んでるんだ? それは商品ではないだろ? その辺で拾って来て、さも盗ってきたようにしてるだけじゃないか。なんなら僕が行ってくるよ。」




三男は、狼村ローソンに入って行きました。店員がこちらを見てきますが、普通に買い物をしにきた風を装ってうろうろします。

しばらくして、人の目につかないタイミングを見計らい、サッと商品を盗みました。100円くらいのお菓子ですが、他の2人に勝つには充分でした。

後は見つからないように出るだけ……と思った矢先、後ろから声をかけられました。

「君!お金を払わずに持って帰っちゃダメじゃないか!!」




怖い、怖い店員が目の前に座っていました。

「君ね、やったこと分かってる?犯罪だよ、ハ・ン・ザ・イ!」

三男はビクビクしていました。こんなことならやらなきゃ良かった、と思っていました。

「家族は?家族は何人いるの?」

とうとう親を呼び出されるのか……観念して、三男は言いました。

「お父さんと、お母さんと……あとお兄ちゃんが2人……」

すると、店員はニコリと微笑んで言いました。

「やっぱり君が弟君か!」




三男はしばらく呆気に取られていましたが、なんとか訊きました。

「え?どういうことですか?」

「ついさっき、君のお兄さん達が来てね、同じようにお菓子を取って行こうとしたんだよ。ゲーム感覚でやって、弟がいると言うから、これは全員説教してやらないといけないなと思ったんだ。」

それで、わざとワラや木の破片を持って帰らせて、闘争心を掻き立てたのか……。賢い三男はすぐに気付いて、うなだれました。思うツボに動かされて、悪いこともしてしまったからです。

「ま、人に迷惑かけちゃダメってこった。分かったら、もうやるなよ?」

「……す、すいませんでした!」

「本当は警察呼んでもいいんだが……止めといてやろう。その代わりだ。」






こうして3匹は、悪いことはもう2度としまいと誓ったのでした。

そして、罰として駐車場の車止めに使うレンガ運びを全員で手伝わされたそうです。


めでたし、めでたし。

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万引きの子豚 いましん @zunomashi

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