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 先生の唇が優しく重なる。

 どんなスイーツよりも甘いキス。


 先生の手が帯紐を解き、器用に帯をほどいていく。階下から賑やかな笑い声が響き、ドキドキと鼓動が速まる。


「先生、一階にみんないますよ」


「そうだな。だが着物を着たままでは苦しくて寝られないだろう」


「はい」


「それに今夜は夫婦になった初めての夜だ」


「……っ、そうですけど。実家でそういうことは……。刺激的過ぎます」


「それも、そうだな。あの小説のタイトルだが……、今……閃いた」


「タイトルが決まったんですか?」


 先生は私の帯をほどき、強く結んであった腰ひもを緩めた。締め付けられていた体が解放され、呼吸が楽になる。


「ああ、生き返った……。窒息するかと思った」


「大袈裟な奴だな」


 先生の両手が着物の衿に掛かる。

 スルリと肩から赤い着物が落ち、白い長襦袢が露になる。


「信長の側室になった気分ね」


「それはまた淫らな発想だな」


「だって……先生が私をそうさせるのよ」


「まひるは側室ではない。俺の正室だ」


「……先生」


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