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 ◇


 クリスマスイブ。

 都内でも初雪がちらつく。


 先生と私は二人で都内のホテルを訪れていた。

 いつも着流しに下駄の先生が、今日ばかりはスーツを着用し黒い革靴を履いている。私はブルーのフォーマルドレスに白いハイヒール。


 ホテル内のチャペルには正装した参列者たち。先生と私は一番後ろの席に座る。


 チャペルのドアが開き、みやこが純白のウェディングドレスに身を包み父親とバージンロードを歩く。

 神父様の前で待っているのは、セシリア社の編集長だ。


 恋多き女のみやこが遂に観念し、一人の男性と添い遂げることになった。


 正直、意外だな。


 二人は愛人契約を結ぶ不倫関係だったから。


 編集長と先生はいまだに不仲だ。編集長は先生のことを友人だと周囲に話しているようだが、素直じゃない先生は『友人ではない』と、いつも否定する。相変わらず偏屈だ。


 友人ではないと言い張るくせに挙式披露宴の招待状を受け取った先生が、嬉しそうに一瞬頬を緩めたことを私は知っている。



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