260
◇
クリスマスイブ。
都内でも初雪がちらつく。
先生と私は二人で都内のホテルを訪れていた。
いつも着流しに下駄の先生が、今日ばかりはスーツを着用し黒い革靴を履いている。私はブルーのフォーマルドレスに白いハイヒール。
ホテル内のチャペルには正装した参列者たち。先生と私は一番後ろの席に座る。
チャペルのドアが開き、みやこが純白のウェディングドレスに身を包み父親とバージンロードを歩く。
神父様の前で待っているのは、セシリア社の編集長だ。
恋多き女のみやこが遂に観念し、一人の男性と添い遂げることになった。
正直、意外だな。
二人は愛人契約を結ぶ不倫関係だったから。
編集長と先生はいまだに不仲だ。編集長は先生のことを友人だと周囲に話しているようだが、素直じゃない先生は『友人ではない』と、いつも否定する。相変わらず偏屈だ。
友人ではないと言い張るくせに挙式披露宴の招待状を受け取った先生が、嬉しそうに一瞬頬を緩めたことを私は知っている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます