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担当の気迫に圧倒され、俺は彼女に視線を向ける。彼女の率直な意見が聞きたい。
「先生、挑戦しましょうよ。ボツになっても、また頑張ればいいじゃないですか」
「お前は楽天的だな」
「はい、楽天的でなければ、先生と同棲は出来ません」
俺達は単なる同居ではなく、結婚前提の同棲。この俺が、彼女のヒモであっては断じてならない。
彼女の言葉にむくむくと闘志がわく。
「わかった、引き受けよう。どの小説を手直しすればいい」
「只野先生、幾つか原稿をお預かりしていいですか?企画会議で提案し選出します」
俺は原稿の詰まった段ボール箱を取り出す。箱の一番上には、彼女のために書いた恋愛小説。
タイトルは【仮】、まだ決まっていない。担当はすぐさまその原稿を手に取る。
「只野先生これは?新作ですか?」
「それはダメだ。もう行き先は決まっている」
俺は担当から原稿を奪い返す。
「他社への持ち込みですか?只野先生も色々大変ね」
「嫌味を言う暇があったら、早く選べ」
「はい、はい、そう焦らせないで下さいよ。二人の邪魔はしませんから。我慢できなければ続きをどうぞ」
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