255

「編集者として興味を引く作品も多数ありました。ストーリーをかなり変更していただくようになるかもしれませんが、インパクトを加え多少刺激的にしていただけるなら、書籍化も可能かと」


「この俺に書き直せと?」


「はい。恋愛要素を散りばめ、大人向けの描写も入るといいかな。ミステリーだけではつまらないですからね。お料理同様、小説にもスパイスが必要です」


「成る程。料理なら得意だが、完結したものを書き直すのは容易くない」


「只野先生、作家で食べていくのなら、少しはこちらの要望も受け入れ柔軟に対応して下さい。それとも一生まひるのヒモでいるおつもりですか?」


「無礼千万、戦国時代なら君はとうに手打ちだぞ」


「今は平成の世、万年筆で斬り捨てることは出来ないでしょう。只野先生、やりましょうよ。是非、セシリア社にお力をお貸し下さい」


「持ち上げて、また奈落の底に突き落とす気か?二度とその手には乗らん」


「はい、もちろん商業化出来ないものは採用致しません。只野先生、まさか勝負することが怖いの?意外と腰抜けね」


「……っ」



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る