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「君は家政婦ではない。今は……俺の妻だ」


「……先生」


 先生の唇が、スローモーションのように落ちてきた。肌に顎髭があたり、少しチクチクする。


 柔らかな唇は、私の唇を優しく啄む。

 不意打ちのキスに何度も瞬きするが、頭がくらくらして、体は宙に浮いているみたい。


 敷布団のシーツは糊がききすぎて、少し動いただけで擦れる音がする。


 先生の太い指が私の細い指に絡まる。唇から差し込まれた舌は脳を刺激し、私の理性を一瞬で壊した。


 浴衣の帯に手が伸び、先生は器用にするするとほどいた。浴衣と帯のほどける音が羞恥心を高める。


「……先生、私……初めて……」


「わかっている。乱暴にはしない」


 浴衣の裾が乱れ脚が露わになり、思わず先生に抱き着いた。今まで抑えていた感情が、心も体も支配する。


 先生が好き。

 先生が……大好き。


 きっと……

 助けてもらった時から、私は先生に恋をしている。


 絡めた指先に力が入る。初めての戸惑いと緊張から、先生の手を強く握った。


 先生は私の唇を塞ぎ、ゆっくりと体を動かした。



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