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「でも、両親は彼との結婚を猛反対したの。バツイチだし年齢も一回りも違うし。でももう離れられなくなってた。人を好きになるって、年齢とか離婚歴とか関係ないのよ。離婚したからこそ、相手に優しくなれることもある」


「そうですよね」


 不意にみやこと編集長の顔が浮かんだ。あの二人もそうなのかな。


「あなたはどうだったの?」


「私も……第一印象は最悪でした」


「でも今は大好き?」


「はい」


 躊躇なく返事をしたことに、自分自身が一番驚いている。


「そう。彼が待ってるから、お先に失礼します。お互い楽しい旅行になるといいわね」


「はい。お幸せに」


 女性が立ち上がり、湯船のお湯が揺れる。湯けむりにぼんやり浮かぶ美しい裸体。

 均整のとれたプロポーション、完全に負けてる。


 先生は私を異性として見ているわけではない。


 単なる小説のシチュエーションを試したいだけだ。私がつるつるの肌でなくても、私のプロポーションが美しくなくても、小説の続きは書ける。


 でも……

 やっぱりつるつるの美肌になりたい。


 そんなことを考えていたら、いつも以上に長湯をしてしまい、完全に逆上せてしまった。


 つるつるどころか、指先はふやけてしわしわだ。


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