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 いつもなら瞳を輝かせすぐに食いつくのに、やけに素っ気ないな。


「プロに相談出来るわけないだろう。大体誰に相談しろというんだ」


「それは先生の身近にいらっしゃるでしょう」


「俺の身近?」


「はい」


 もしかして、桂木由佳子のことを言っているのか?


「昨夜、屋敷に戻って来たのか」


「戻っていません」


「本当か?」


「ずっと両親と一緒でした。浅草のホテルに泊まりました」


 白々しいな。

 昨夜、確かに彼女は戻って来た。桂木由佳子を目撃し、慌てて逃げ出したんだ。


 だが、何故、彼女は逃げ出したのだろう?

 住み込みの家政婦なのだから、逃げ出す必要などないのに。


「先生、両親の手前、私の嘘に付き合って下さりありがとうございました。先生のお陰で、両親はすっかり安心して広島に戻りました」


 彼女の『嘘』という言葉に、何故かムッとした。


 いつも以上に他人行儀な態度に、苛立ちすら感じた。俺と彼女は確かに他人だ。恋人でも肉体関係があるわけでもない。


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