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 すでに両親を亡くした俺。

 親子喧嘩が出来る彼女が羨ましい。


 新幹線のホームでご両親を見送る。二人で見送るのは妙な気がするが、迷い猫を捕獲するためには致し方ない。傍にいないとまた消えてしまうからな。


 新幹線が発車し、彼女が俺に視線を向けた。


「先生、腰はもう大丈夫ですか?」


「大丈夫だ、そんなに柔じゃない」


「先生、両親を一緒に見送って下さり、お弁当まで買っていただいてありがとうございました。お弁当の代金はお支払いします。おいくらですか?」


「不要だ」


「でも……」


「それより、腹が減った。何か食いに行こう」


「はい。私も先生にお話があります」


「俺に?俺も君に話がある」


「わかりました。何を食べますか?洋食?」


「和食に決まっているだろう。日本人は洋食より和食だ」


「わかりました。お蕎麦はいかがですか?」


「蕎麦か?問題ない」


「美味しいお蕎麦屋さんにご案内します。天ざるが絶品なんですよ」


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