直人side
215
「冴えない女が、昨夜宿泊しなかったか?」
俺の質問に店員は眉を潜める。
「お客様、そのような質問にはお答え致しかねます」
「御園まひるだ」
「名前を言われましても、個人情報はお答え出来ません」
「では強制捜査させてもらうよ」
「捜査?あなたは私服警察官ですか?着流しとは、警察も随分斬新ですね」
「捜査の妨害をするとためにならないが」
店員は俺を私服警察官と勝手に勘違いし、慌てて調べ始めた。
「御園まひるさんは昨夜久しぶりに来店されましたが、今朝早く出られました」
「もう出たのか。捜査協力に感謝する」
「はい。彼女また何か事件に?確か……数ヶ月前の監禁事件の被害者ですよね。ニュース見ましたよ」
店員が身を乗り出す。
「実は大事件なんだ。今朝味噌汁を作りに来なかった」
「は?味噌汁?」
「失礼」
「ちぇっ、私服警察官じゃねーのかよ」
「誰も警察官だとは言ってはいない。彼女を捜しているだけだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます