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 ◇


 早朝、ネットカフェを出て浅草のホテルに向かった。

 両親が宿泊している部屋にこっそり戻り、熟睡している母の隣に潜り込む。


 自由になりたくて、親鳥の巣を飛び立った私。でも寂しくなると温かな巣の中に戻りたくなる。


 母のぬくもりは……

 どんな良薬よりも、心が休まる。



「まひる、どしたんね?」


「おはよう。先生がご両親を見送ってあげなさいって。今日バイト休みだから、浅草見物したら、東京駅まで送るよ」


「まぁ、先生が?わざわざ戻らんでも良かったのに」


「だってトリプル料金勿体ないでしょう。父さん、はよ起きて。朝御飯食べに行こう」


「朝から騒々しいのう。まひる、もう出戻りしたんか」


 ……っ、出戻りだなんて、失礼な。


「まだ嫁にも行ってませんから」


 両親といると時々腹も立つけど、でも笑ってる両親は温かくて……。


「一緒に朝ご飯食べたくて戻ってきたの」


 先生は今頃彼女と……

 一緒に朝を迎えてる。



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