196
先生がそんな風に思ってくれているなんて、知らなかった。
「お味噌汁ですね。わかりました。すぐに作ります」
先生と目が合い、心がじんわり温かくなる。
モーニング珈琲ならぬ、モーニング味噌汁……。
先生と二人で食べる朝食は、私にとって大切な時間。
◇
朝食の後、先生をタクシーで整形外科に送迎し、午後からアルバイト先に向かった。
先生からお給料はいただいていないため、アルバイトで稼いだ給料が私の生活費。
家政婦の給料をいただかない代わりに、家賃も光熱費も食費も無料。
先生の小説はいまだに商業化されず収入はないため、生活費は預金を切り崩していることは歴然。だから居候の身としては心苦しい。
このお屋敷は敷地も延べ面積も広く、部屋はあり余っている。
空室を活用し、今流行りのシェアハウスにすれば家賃収入も可能だけど、先生の性格上それは不可能。よって定収入の見込みもない。
アルバイトを終え帰宅すると、玄関には男性の革靴と女性のパンプスが並んでいた。
靴のセンスからして、みやことセシリア社の編集長ではなさそうだ。
お客様かな?
このお屋敷に居候して、初めてのお客様。
もしかして……
どこかの出版社!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます