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「みやこ誤解しないで。小説のシチュエーションを考えていただけ」


「シチュエーションを車の中で試してたの?それでぎっくり腰?呆れてものも言えない。只野先生、運転席から引っ張りますね」


「優しくしろよ。元担当なんだから」


「はいはい。只野先生の担当を外れて、本当に良かった。こんな変態の担当なんて懲り懲りだわ」


 みやこは運転席のドアを開け、先生の体に背後から手を掛ける。


「まひるは下から起こして、いいわね。せーの」


「痛たた……!乱暴にするな」


 みやこと二人がかりで先生の体を起こし、運転席に戻す。私はやっと先生から解放された。


「只野先生、肩を貸します。まず足から外に出て下さい」


「わかった」


 みやこは先生の体を支え、車から出す。私も助手席から降りて先生の体を支え、二人がかりで座敷に運んだ。


「みやこ、本当に助かった」


「もう勘弁してよ。二人がこの車でエッチなことしていたなんて編集長が知ったら、怒って車売っちゃいますよ。それに、私が来なければずっと抱き合っているつもりだったの?」


「……っ。俺は何もしていない!誤解するな!」



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