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身動きがとれない私達。
いつになったら先生の腰の痛みが治まるのかもわからない。
ドキドキしている私の上で、先生はさらに私に体重を掛ける。
先生の顔が私の首筋に埋まった。
「……せ、先生、いけません。私達はまだ……」
「スー… スー……」
「えぇ!?」
こんな非常事態に、まさかの爆睡!?
嘘でしょう。
根を詰めて執筆していたから、疲れたのかな。
だとしても、あまりにも興ざめだ。
フロントガラスから夜空を眺める。今夜は星も出ていない。前方には庭の池が見え、柳の木の枝が夜風にサワサワと揺れている。
本当に……
幽霊みたいだ。
怖いな……。
雨がポツポツと降り始め、さらに恐怖を煽る。
ピカッと夜空が光りゴロゴロと雷が鳴る。「きゃっ」と、小さく声を上げ、思わず先生の背中に手を回し抱き着いた。
先生のぬくもり……
ちょっと安心する。
――まひる、怖いから誰でもいいの?
……そうじゃないよ。
先生だから安心するんだ。
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