まひるside
191
「眠いのか?」
「……っ、何でもありません」
先生と車中に二人きり。
私の体の上には、先生が覆い被さっている。
互いの鼻先が触れてしまいそうな至近距離にあり、ドキドキと鼓動は高鳴る。
私、変なんだ。
私、どうかしてる。
先生の屋敷にお世話になり、恋愛小説のアドバイスをしている内に小説にのめり込み、自分が琴子と精神的に重なる時がある。
私はまだ未経験で男性にはモテないし、主人公の琴子とは異なる。
それに、先生は私を異性として認識していない。
けれども小説のアドバイスをする時だけは、私達は男と女を演じ、互いにイメージを高める。
車中で瀬戸に迫られた琴子。
年下の男性に想いを寄せられ、その男性の弱い部分を見せつけられたら母性本能を擽られ、男性の気持ちを受け入れてしまうかも……。
琴子の心境を想い、瞼を閉じる。
何かを期待したわけではない。
でも先生、この状況で『眠いのか?』は、ないでしょう。
私達一応抱き合ってるし。
それは先生が腰を痛めたからだけど。
私達の体、互いの心音が聞こえそうなくらいこんなに密着しているのに、異性として何も感じないのかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます