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「うっ……。腰が……」
「先生!?腰を痛めたんですか。やだ、どうしよう。起き上がれます?」
「痛たたた……。無理だ。動くな、じっとしてろ」
「えっ……。ずっとこのままですか?」
「ガタガタ言うな。暫くすれば痛みは治まるはずだ。動くな!」
「暫くって……、どれくらい……?」
「俺にわかるか。大体、君が車の中でリクライニングを倒すとか言うからこんなことに……」
「それは抱き合いキスをするというイメージです。先生はさっき足をガサガサしてましたよね。まさか助手席に乗り移ろうとしていたのでは?」
「それがどうした」
「嘘!?そんなこと無理でしょう。ワンボックスカーの後部座席ならわかりますが、普通車の助手席ですよ。そこで堂々と行為に及ぶなんて、やだ、あり得ません」
彼女は俺の下で、もぞもぞと体を動かす。
「動くなと言っただろ。大体ワンボックスカーの後部座席なら出来るなんて、君は立証済みなのか」
「……立証なんてしてません。変なこと言わないでください」
彼女がツンと唇を尖らせた。俺と彼女の顔は至近距離だ。暗がりの中で見る彼女は、室内で見る彼女とは別人のように艶かしい。
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