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 彼女と暮らすことで、第四章 第五章 第六章……と順調に執筆は進み、主人公である琴子は章を増すごとに大胆になっていった。


 職場では地味なOLが、男性に触れられると紫陽花のように花びらの色を変える。


 上司と二人きりの残業で……。

 後輩と二人きりの会議室で……。

 取引先の社員と二人きりの応接室で……。


 現実ではあり得ないようなシチュエーション。もしリアルにありうるエピソードなら、オフィスラブとは大胆不敵だ。


 これらは全て、彼女が考えヒントをくれたもの。原稿の上で琴子は何度となく甘い吐息を漏らす。


「君、第七章だが。瀬戸と取引先から帰社途中、車の中で瀬戸に迫られるシーンを書こうと思う。だが、狭い車中で果たして琴子を押し倒すことができるのか判断出来ない」


「普通車なら可能ではないでしょうか?抱き着くと同時にリクライニングを一気に倒せば」


「俺は車を持っていない。イメージが掴めないな」


 腕組みをし悩む俺のために、彼女は元担当の恋人である一樹から車を借りてくれた。


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