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誰にも必要とされない。
ここに存在することすら、誰も知らない。
『――第二章 欲望
オフィスでは上司と部下。
割り切った一夜の関係だったが、深みに嵌まったのは女ではなく男の方だった。
男は平静を装ってはいるが、女の周囲に蠢く新たな男の影を感じ、嫉妬から女に冷たくあたる。
再び交わることのない男女の関係は、次第に歪み亀裂を生じていく』
「どうだろう」
正直、これだけの短い文章で感想を述べるのはとても難しい。でも長文ではないところが、只野さんらしいな。
「何か……もう少し具体的なシチュエーションがあった方が、読者はドキドキするかもしれません」
「例えば?」
「そうですね……。ただ冷たくあたるだけでは、読み手は不快感を抱くだけ。ドキドキハラハラするようなシチュエーションが必要です。例えば同じ会社の同僚が彼女に想いを寄せるとか。取引先の社員が彼女に告白するとか。タイプの異なる男性の登場は、読者もワクワクするはずです」
「地味な女に男が次々群がるというのか?」
「今は逆ハーがウケる時代です」
「逆はぁーとは何だ?女が溜め息をつくことがウケるのか?」
「只野先生、ハーレムですよ。ハーレムとは男性だけが憧れるものではありません。女性だって憧れるんです」
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