172
洋服に着替えたみやこが、濡れた髪をタオルで拭きながら、心配そうに私を見つめた。
浴室からはシャワーの水音がする。彼がシャワーを使っているのだ。
「住み込みの仕事を見つけたの。家政婦なんだ。段ボール箱は玄関の外に出しといて。また取りに来るから。部屋の合鍵返すね」
「住み込みの家政婦?それってまさか……只野先生?まひると只野先生付き合ってるの?」
「付き合ってないよ。これは仕事だから。恋愛感情は一切ない」
「男と女がひとつ屋根の下に同居して、恋愛感情も肉体関係もないなんて、正常な男女とは思えない」
「……っ、正常だよ」
どうしてそういう発想になるかな。男と女、一つ屋根の下イコール肉体関係とは限らない。
「只野先生、女を抱けないとか……?まさか、男が好きとか……?」
「そんなんじゃない。只野先生はちょっと変わっているけど、優しい人だから。私に同情してるの」
「同情か……。まひる、男を信用し過ぎると、また痛い目に遭うよ。只野先生、出版の話が流れたし、無収入でしょう。家政婦のお給料はもらえるの?」
「暫くただで住まわせてもらうから、お給料はいらない。落ち着いたら仕事を探すつもりだから、心配しないで」
「まひる……。私達親友だよ、心配するに決まってる」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます