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 洋服に着替えたみやこが、濡れた髪をタオルで拭きながら、心配そうに私を見つめた。


 浴室からはシャワーの水音がする。彼がシャワーを使っているのだ。


「住み込みの仕事を見つけたの。家政婦なんだ。段ボール箱は玄関の外に出しといて。また取りに来るから。部屋の合鍵返すね」


「住み込みの家政婦?それってまさか……只野先生?まひると只野先生付き合ってるの?」


「付き合ってないよ。これは仕事だから。恋愛感情は一切ない」


「男と女がひとつ屋根の下に同居して、恋愛感情も肉体関係もないなんて、正常な男女とは思えない」


「……っ、正常だよ」


 どうしてそういう発想になるかな。男と女、一つ屋根の下イコール肉体関係とは限らない。


「只野先生、女を抱けないとか……?まさか、男が好きとか……?」


「そんなんじゃない。只野先生はちょっと変わっているけど、優しい人だから。私に同情してるの」


「同情か……。まひる、男を信用し過ぎると、また痛い目に遭うよ。只野先生、出版の話が流れたし、無収入でしょう。家政婦のお給料はもらえるの?」


「暫くただで住まわせてもらうから、お給料はいらない。落ち着いたら仕事を探すつもりだから、心配しないで」


「まひる……。私達親友だよ、心配するに決まってる」

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